(図060(唾液腺I)図061(唾液腺II )図078(舌尖を上方に挙げ、舌下面と口腔底を観察) )

この腺は扁平で円みを帯びた形をしており、下顎骨、顎二腹筋の後腹と中間腱、茎突舌筋、そして舌骨舌筋に挟まれた位置にある。最後に述べた2つの筋には、この腺の内面が接している。

**局所解剖:**顎下腺は長さ2.5~3.5cm、厚さ1.5cm、重さ10~15gである。前方は多くの場合、顎舌骨筋の上に少し乗っており、上方は下顎骨の内面に接している。後方は茎突下顎靱帯によって耳下腺から隔てられている。外方は浅頚筋膜、広頚筋、および皮膚がこの腺の上を覆っている。薄い結合組織板が腺の内面を深部の筋から隔てている(第1巻、図511)。このように、この腺は耳下腺と同様に、外側で強く内側で薄い結合組織の被膜に包まれている。

顔面動脈は咬筋付着部の前端で下顎縁を越える前に、1個あるいはそれ以上(多くは3個)のリンパ節とともに、顎下腺の後面から上縁にかけて存在する深いくぼみに入る。一方、顔面静脈はこの腺の外面を通過する。

導管、すなわち顎下腺管Ductus submandibularisは5~6cmの長さがあり、この腺から出て上方に顎舌骨筋の後縁を越えて進む。この筋の上面で前方かつ内側に進み、顎舌骨筋ならびに舌骨舌筋とオトガイ舌筋の間を通り、舌下腺の内側縁に沿って走る。そして舌小帯の側方に達し、小さな開口部をもって舌下唾液乳頭Papilla salivaria sublingualisに開口する(図061(唾液腺II )図078(舌尖を上方に挙げ、舌下面と口腔底を観察))。

顎下腺の動脈は顔面動脈および舌動脈から分岐している。

神経は顎下神経節および舌神経から来ている。これは鼓索Chorda tympaniを経て舌神経に入り、顎下神経節に達したものである。他の線維は交感神経から来ており、これは顔面動脈の枝とともにこの腺に達する(伝導路の項を参照)。

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[図60]唾液腺I(7/9倍)

https://funatoya.com/funatoka/anatomy/Rauber-Kopsch/band2/png100/061.png

[図61]唾液腺II (7/9)

下顎骨の一部を除去し、舌下腺を側方から見えるようにしてある。