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眼窩Orbitaについては、すでに1. 眼窩 Orbita, Augenhöhle で述べた。
眼窩骨膜Periorbitaは眼窩の骨壁を覆う骨膜で、以下のような特殊性を持つ。
眼窩骨膜は視神経管、上眼窩裂、眼窩頭蓋管を通じて脳硬膜とつながり、下眼窩裂を介して上顎骨の骨膜に移行する。また、眼窩口縁を越えて周囲の骨の骨膜に続き、鼻涙管と眼窩篩骨管を通じて鼻腔の骨膜につながる。視神経管の前縁では、視神経の硬膜鞘と密に融合している。脳硬膜側から見ると、この膜は視神経管で2葉に分かれ、1葉は眼窩骨膜に、もう1葉は視神経の硬膜鞘となる。つまり、硬膜は眼窩内で脊柱管内と同様の構造をとり、骨膜性と神経性の2成分に分離している。
眼窩骨膜は平滑な骨面では緩く付着しているが、骨の様々な孔ではより密着している。眼窩骨膜の内表面からは少数の結合組織索が出て、眼窩脂肪体内に進入する。
涙腺付近では、強靱な1本の線維索が上涙腺の後縁に達し、この腺を固定する。また、厚い線維葉が上斜筋に至り、この筋の周囲に鞘を形成する。この線維葉の延長として、眼窩骨膜からの線維索が滑車に達する。滑車の下方では眼窩骨膜が内外の両側葉に分かれ、外側葉が涙嚢窩を橋渡しして涙嚢を覆い、内側葉は涙嚢窩自体の表面を覆う。外側葉は内側葉より厚く、上部3分の1あたりから内側眼瞼靱帯の延長をなす水平方向の線維索によって補強されている。