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目次(VI. 感覚器)

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耳介の皮膚は耳介軟骨とそれに付着する諸筋を被い、後面を除いてこれらと強く付着している。脂肪は部位によって全くないか、わずかに存在する程度だが、耳垂のみ皮下に脂肪組織が発達している。耳介の皮膚には汗腺が散在し、小さい脂腺が多数存在する。脂腺は耳甲介と三角窩で特に密集し、大きく発達しているが、突出部では発達が弱い。外耳孔周囲には耳毛(みみげ)Tragiが生えている。これは繊細で短いが、高齢者ではかたく太くなる。眉毛・眼瞼縁の随毛・口周囲や鼻孔の毛と同様の保護器官である。耳珠部ではしばしば長く密生し、いわゆる耳珠ひげBarbula tragiを形成する。外耳孔の毛は外耳道の毛と直接連続しており、同様の機能を持つ。

耳介の脈管:後耳介動脈A. retroauricularisは主に耳介後面に分枝し、耳介縁を回るか軟骨を貫いて前面にも枝を送る。前面にはさらに浅側頭動脈の耳介前枝Rr. praeauricularesも分布し、後面には通常、後頭動脈A. occipitalisからの小枝も来る。静脈は動脈に伴行して側頭静脈と顔面静脈に注ぐ。リンパ管については2. 頭部外面のリンパ管 Oberflächliche Lymphgefäße des Kopfes を参照されたい。

耳介の神経:頚神経叢の大耳介神経N. auricularis magnusが耳介後面の大部分を支配し、後耳介動脈の枝とともに細枝を前面へ送る。顔面神経の後耳介神経N. retroauricularisは迷走神経の耳介枝R. auricularis n. vagiと結合して、項耳筋・耳介横筋・耳介斜筋・対珠筋に枝を与える。また耳介側頭神経N. auriculotemporalisはその耳介枝を耳介前壁に分布する。