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図378(脊髄とその被膜および後根の後面図;A, B, Cの3部に分割)
脊髄硬膜は互いに離れた2葉から構成されている。すなわち、脊柱管を内張りする薄い骨膜性の1葉(外板Lamina externa、脊柱管内膜Endorhachis)と、狭義の脊髄硬膜である内板Lamina internaである。内板は強靭な線維性で、腱のような光沢を持つ膜である。これら2葉の間には硬膜外腔Cavum extraduraleが存在し、その中には疎性結合組織、脂肪組織、静脈叢が含まれている。
内板は外側が粗で、内側は滑らかで光沢があり、長く広い円筒形の嚢をなしている。この嚢は包まれた脊髄よりもはるかに大きな広がりを持つ。大後頭孔の周縁にしっかりと付着し、脊髄円錐の尖端を越えてさらに下方に伸びる。第2あるいは第3仙椎の高さで急に細くなり、円錐形の尖端となる。大後頭孔の近くで左右の椎骨動脈がこれを貫く。硬膜の突起が終糸とともに下方に伸びて尾骨に達し、脊髄硬膜糸Filum durae matris spinalisを形成する。
これはヘラ状に広がって第2尾椎の骨膜に移行する。
硬膜嚢は様々な場所で脊柱管の壁と結合組織の束によってつながっている。
硬膜は包まれているものとの間に2種類のつながり方をする:
a) クモ膜の外面とは硬膜下小束subdurale Fädenによって結合する。その他の場所では、硬膜は平面的に広がった毛細管性のリンパ隙、すなわち硬膜下腔Cavum subdurale, Subduralraumによってクモ膜から分けられる。
b) 柔膜とは各側19~23個の低い尖頭の対称的な2縦列によってつながる。これらの尖頭は前額面に伸びた幅の狭い結合組織の板の突出部であり、この結合組織の板と共に歯状靱帯Ligamentum denticulatumを形成する。この靱帯は柔膜に固着し、脊髄を固定する装置となる。
第1の尖頭は硬膜嚢が椎骨動脈に貫かれる部位よりも上方で、かつ第1頚神経よりも上方にある(RK396(頭蓋と頚部脊柱の関節結合の正中断) )。その下方に続くものはすべて上下に並んだ2つの神経が硬膜に入る部位の間に固着している。最後のものは最下位の胸神経と第1腰神経との間にある。最下位の尖頭より下方で側方の靱帯条はなお脊髄円錐まで追跡できる。歯状靱帯の前方には前根があり、その後方には後根および副神経がある(図378(脊髄とその被膜および後根の後面図;A, B, Cの3部に分割)、図379(脊髄膜:第4頚椎を通る横断面) )。
硬膜は密に組み合った線維性結合組織の束からなり、この線維束の多くは縦走している。線維束の間には液の通路系Saftbahnsystemがあり、この系は硬膜の内外両面に開口している。硬膜の内外両面は内皮で覆われている。
硬膜には血管(硬膜動静脈)および神経(硬膜神経)がある。