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目次(III. 脈管系)

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(RK668(**女性の骨盤動脈(左側)**右側から見た図)RK669(骨盤右半分の動脈分枝(左側面図))RK670(男性の会陰部の動脈)RK671(男性の会陰部の動脈 II)RK672(女性の会陰部の動脈) )

この動脈は短くて太い枝で、その長さは3〜8 cmあり、仙腸関節の高さにある総腸骨動脈の分岐部から始まり、大坐骨孔の上縁まで伸びている。

内腸骨動脈は成人では外腸骨動脈よりやや細いが、胎児では2つの理由から太い動脈となっている。第1の理由は下肢が小さいためであり、第2には胎児の血液が臍動脈を通って胎盤に導かれるためである。この動脈の起始部は腰筋に接しており、それより下方では梨状筋に接する。動脈の後方には内腸骨静脈と太い腰仙骨神経幹Truncus lumbosacralisがある。

この動脈の枝には壁側枝臓側枝があり、その分岐順序にはいくつかの型がある。内腸骨動脈の枝は、全体的な分布は非常に規則的だが、多くの枝の起始位置には著しい相違がみられる。多くの場合、この動脈の幹は2本の主な枝に分かれ、1本は比較的後方に、もう1本は比較的前方にある。前方の主枝からは臍動脈を伴った上臍胱動脈・下臍胱動脈・子宮動脈と腟動脈・後直腸動脈・内陰部動脈・閉鎖動脈・および下臀動脈といった諸枝が骨盤の内臓や骨盤の前壁、および陰部に向かって出ている。

後方の主枝は骨盤の側壁と後壁および弯部に血液を運び、腸腰動脈・外側仙骨動脈・上臀動脈がその枝となっている。

以下では、内腸骨動脈の枝を体壁(および下肢)に分布するものと、内臓に広がるものとに区別して述べる。

**変異:**内腸骨動脈はその分岐部までの長さに1cmから6cmまでの開きがあり、一般にこの動脈が長ければ総腸骨動脈は短く、その逆も成り立つ。前方と後方の主枝に分かれる位置が上方または下方にずれることがあり、仙骨の上縁から大坐骨切痕の上縁までの範囲で変異が見られる。稀に内腸骨動脈が欠如することがあり、その場合、総腸骨動脈が骨盤内に入ってつくる1つの動脈弓がその代わりを務める。この動脈弓の続きが外腸骨動脈として血管裂孔を通って大腿に達する。このような場合、通常は内腸骨動脈から出る枝がこの動脈弓から起こっている。

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[図668]**女性の骨盤動脈(左側)**右側から見た図。(1/3)

子宮と直腸を右前方に引き寄せて表示。

1;第5腰椎;2 仙骨;3 恥骨結合;4 仙骨神経叢;5梨状筋;6仙棘靱帯;7 直腸;8 臍胱;9 子宮;10腱;11卵管;12卵巣;13左子宮広ヒダ (一部切除);14 総腸骨動脈;15 卵巣動脈;16外腸骨動脈;17内腸骨動脈;18 臍動脈;19 閉鎖動脈;20子宮動脈;21腟動脈;22 上臀動脈と外側仙骨動脈;23 下弯動脈;24 内陰部動脈;25 後直腸動脈

臓側枝 Viszeraläste

壁側枝 Parietale Äste