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図523(側頭骨錐体内における顔面神経と内耳神経の走行および結合関係)
内耳神経の根束は内側面に溝を有し、顔面神経の両部分をこの溝に収めて内耳道に入る。内耳道底で両神経は分離する。内耳神経は前庭神経N. vestibuli(平衡神経N. staticus)と蝸牛神経N. cochleae(聴神経N. acusticus)から構成され、各々が脊髄神経節に類似した神経節を持つ。これらは前庭神経節Ganglion vestibuliとラセン神経節Ganglion spirale cochleaeである。ラセン神経節は蝸牛内に、前庭神経節の主要部は内耳道底に位置する。
前庭神経節から卵形嚢膨大部神経N. utriculoampullaris、球形嚢神経N. sacculi、後膨大部神経N. ampullae posteriorisが出る。卵形嚢膨大部神経はさらに卵形嚢枝Ramus utriculi、上膨大部枝Ramus ampullae superioris、外側膨大部枝Ramus ampullae lateralisに分岐する。これらの枝は全て膜迷路の神経終末部に至る。
蝸牛神経N. cochleaeはその枝を専ら蝸牛に送る。
前庭神経節とラセン神経節は、魚の脊髄神経節に似た両極性の紡錘形神経細胞を有し、両端から突起を出す。
ラセン神経節は、蝸牛神経がラセン状の花弁のように広がる様相に対応し、長いラセン状の帯を形成する(詳細は感覚器の項を参照)。
[図523] 側頭骨錐体内における顔面神経と内耳神経の走行および結合関係(Hirschfeld と Leveillé による)