0630 (右下肢の表在静脈:前面図)

J0630 (右下肢の表在静脈:前面図)
矢印は弁の位置による流れの方向を示しています(W.Brauneによる)
図の概要
これは「右下肢の表在静脈(前面)」の解剖図です。青い血管は皮膚のすぐ下を走る表在静脈で、矢印は静脈弁の向きにより血液が足から心臓方向へ流れることを示しています。主役は内側を縦走する大伏在静脈で、足背の静脈網や静脈弓から始まり、内果の前方を通って太ももへ上行します
図中の番号(主要ランドマーク)
- 01 外果
腓骨のくるぶし。外側の目印。近くは小伏在静脈の領域ですが、本図は前面中心
- 02 足背静脈網
足背に広がる集水域。ここに集まった血は足背静脈弓や大伏在静脈に移ります
- 03 膝蓋骨
膝の前面の骨の目印。大伏在静脈は膝内側を通過し上行します
- 04 大伏在静脈
足背から始まり内果の前を通って下腿内側〜大腿内側を縦走。多数の弁を持ち、最終的に大腿静脈へ合流します。本図で最も太い表在静脈です
- 05 内果
脛骨のくるぶし。大伏在静脈がすぐ前方を通過する重要な穿刺・採血の目印
- 06 足背静脈弓
足背中央を横走する弓状の集合路。中足部からの血を集め、大伏在静脈(内側)や小伏在静脈(外側方向)へ分配します
- 07 背側中足静脈
各足趾の背側から静脈弓へ向かう枝。趾間の浅い静脈路です
- 08 骨頭間静脈
中足骨頭間を連絡する短い枝で、静脈弓や静脈網の連絡路となります
見どころと臨床メモ
- 静脈弁と流れ
矢印は弁の向きに沿った一方向流(末梢→中枢)を示します。弁不全が生じると逆流し、下腿内側の静脈瘤の原因になります
- 触知ポイント
大伏在静脈は内果の前方、脛骨内側縁、膝内側、太もも内側で表在に位置し、超音波や採血のガイドになります
- 神経との関係
下腿内側では伏在神経と並走するため、手術や穿刺での神経損傷に注意が必要です
- 手技のランドマーク
伝統的なsaphenous cutdownは内果前方で行われます。現在は超音波ガイド下穿刺が主流です