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片山正輝

目次(V. 神経系)

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図410(脳の正中断面の一部を拡大したもの)

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図420(脳幹と脳神経を示す図)

視床下部の脳底面に乳頭体Corpora mamillaria(図420(脳幹と脳神経を示す図) )が見られる。これは半球形または西洋ナシ形の直径5~6mmの白い隆起で、正中の溝により左右に分かれている。乳頭体は終脳の脳弓と密接に関連し、内部に乳頭体核Nuclei corporis mamillarisという灰白質を含む。灰白隆起Tuber cinereumは乳頭体の前方、視神経交叉の後方に位置し、外側を大脳脚と視索の内側縁に囲まれている。灰白隆起は灰白質の薄板で、中脳の脚間穿孔質の前方延長部に相当し、第三脳室底の一部を形成する。

灰白隆起の前方部は視神経交叉により第三脳室内に突出している(図410(脳の正中断面の一部を拡大したもの) )。視神経交叉の前方で、灰白隆起は第三脳室[灰白]終板Lamina terminalis cinerea ventriculi tertii、すなわち脳の灰白終板graue Schlußblatteに連続する。この終板は前交連Commissura rostralisまで達する。視神経交叉の背側面とこの終板の間に視束陥凹Recessus opticusがある(図410(脳の正中断面の一部を拡大したもの) )。

間脳底部の灰白質全体は、矢状方向で両側の乳頭体から第三脳室終板まで10~12mmの長さで延び、脚間穿孔質と合わせて脳底灰白交連graue Bodenkommissurと呼ばれる。

**変異:**灰白隆起の表面に幅約1mmの細い白条、隆起白条Stria alba tuberisが時に観察される。これは乳頭体後方の斜面から始まり、斜め前外側に走行し、視索下で消失する。Lenhossékによれば、これは脳弓に属する表層を走る線維束だという。

灰白隆起は前下方に延び、前後から圧迫された中空の円錐状構造、すなわち漏斗Infundibulum, Trichterに移行し、その先端に下垂体が付着する。漏斗内部の空間は漏斗陥凹Recessus infundibuli(図410(脳の正中断面の一部を拡大したもの) )と呼ばれる。漏斗下端はやや膨隆し、中空ではなく、これが下垂体後葉となる。

下垂体 Hypophysis, Hirnabhang