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片山正輝

目次(V. 神経系)

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図410(脳の正中断面の一部を拡大したもの)

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図417(脳底の図)

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図424(下垂体)

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図445(小脳天幕と大脳鎌)

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図446(下垂体を通る正中断面)

図410(脳の正中断面の一部を拡大したもの)図417(脳底の図)図424(下垂体) )は、長軸を横に向けた楕円体で上面が平坦、蝶形骨の下垂体窩内に位置し、鞍隔膜Diaphragma sellaeという特殊な硬膜板に覆われている(図445(小脳天幕と大脳鎌) )。この硬膜板には開口部がある。

下垂体は灰白色を呈し赤みを帯び、かなりの硬度を持つ。これは神経葉(後葉)Lobus nervosus(Lobus posterior)、すなわち神経性下垂体Neurohypophyseという後方部分(小さく、漏斗と連続し円味を帯びる)と、腺葉(前葉)Lobus glandularis(Lobus anterior)、すなわち腺性下垂体Adenohypophyseという前方部分(後面が凹む)から構成される。両者は発生学的起源が異なるが、互いに強固に結合している(図424(下垂体) )。前方の腺葉は外面が灰白赤色、内部が灰白色であり、後方の神経葉は主にグリアからなり、腺葉より軟らかく淡い灰色を呈する(図446(下垂体を通る正中断面) )。腺葉には神経性下垂体に隣接する中間部Pars intermediaと漏斗下端の隆起部Pars tuberalisが区別され、これらを除く腺葉主要部は主部Pars principalisと呼ばれる。

下垂体の平均的大きさは、幅(左右径)14.4mm、厚さ(前後径)11.5mm、高さ(上下径)5.5mmである。

Rasmussen(Amer. J. Anat., 55. Bd, 1934)によると、非妊娠女性の下垂体絶対重量は、被膜、漏斗、隆起部を除いて平均0.611g(最小0.447g、最大0.971g)である。このうち80%が前葉、18%が後葉、1.5%が中間部を占める。妊娠中は前葉が肥大する。

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[図424] 下垂体 A:上方やや後方からの視点。B:水平断面、切断下片の上面。倍率20倍。

視索Tractus opticus(図420(脳幹と脳神経を示す図) )は複数の部分に分かれて起始し、これらを総称して視索放線Radiatio tractus opticiという。これは外側膝状体膝状体部pars geniculata)、上丘中脳部pars mesencephalica)、視床枕視床部Pars thalamica)に達し、一部は直接終脳皮質にも到達する。

視索は扁平な索状となって大脳脚露出部の上端表面に位置し、大脳脚と癒着しながら内側前方に走行する。両側の視索は大脳脚内側で脳底灰白交連表面を越え、これと癒着しつつ進み、左右が接近して灰白隆起および漏斗の前方で合流し、視神経交叉Chiasma fasciculorum opticorumを形成する。視神経交叉から各側の視神経Fasciculus opticusが出て、互いに離れながら前方へ進む。

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図420(脳幹と脳神経を示す図)

第三脳室[灰白]終板Lamina terminalis cinerea ventriculi tertii(図410(脳の正中断面の一部を拡大したもの) )は正中部の薄い脳組織で、視神経交叉前面から上行して前交連前方および脳弓柱前方に達する。この終板は第三脳室蓋板および終脳へと連続する。