



手の少陰心経は、十二経絡の一つで、心臓の機能と精神活動を司る重要な経絡です。
| 表記 | 経穴名 | 部位(領域) | 取穴(目印+寸法) | 説明 |
|---|---|---|---|---|
| HT1 | 極泉(きょくせん) | 腋窩部 | 腋窩の中央。上肢を軽く外転し、腋窩の最深部(腋窩窩)で腋窩動脈の拍動を触れる部。 | 心経の始まりの穴。腋窩動脈の拍動部に位置し、心気を巡らせる重要な経穴。 |
| HT2 | 青霊(せいれい) | 上腕前内側 | HT3(少海)から上方3寸。肘を軽く屈曲し、HT3を確定してから上腕方向へ距離をとる。 | 心経の気を上腕に通す経穴。心神を安定させる作用がある。 |
| HT3 | 少海(しょうかい) | 肘部 | 肘窩横紋上で内側端付近。上腕骨内側上顆を触れ、その橈側(親指側)の陥凹部。 | 心経の合水穴。心熱を清し、心神を安定させる。肘関節周囲の痛みにも用いられる。 |
| HT4 | 霊道(れいどう) | 前腕前内側 | HT7(神門)から上方1.5寸。尺側手根屈筋腱(FCU腱)の橈側(親指側)に取る。 | 心経の経金穴。心神を安定させ、不安や動悸を鎮める作用がある。 |
| HT5 | 通里(つうり) | 前腕前内側 | HT7から上方1寸。FCU腱の橈側に取る。 | 心経の絡穴。心気を通じさせ、言語障害や不眠に用いられる。 |
| HT6 | 陰郄(いんげき) | 前腕前内側 | HT7から上方0.5寸。FCU腱の橈側に取る。 | 心経の郄穴。心痛や盗汗など急性症状に効果がある。心の陰を補う作用を持つ。 |
| HT7 | 神門(しんもん) | 手関節部(掌側) | 手関節掌側横紋上の尺側。豆状骨(pisiform)の上際付近で、FCU腱の橈側に取る。 | 心経の兪土穴かつ原穴。心神を安定させる最重要穴。不眠、動悸、不安などに広く用いられる。 |
| HT8 | 少府(しょうふ) | 手掌 | 第4・第5中手骨間の陥凹部。最終的には「第4・5中手骨間」という骨格目印で確定する。 | 心経の滎火穴。心火を清し、心痛や掌の熱感を治療する。 |
| HT9 | 少衝(しょうしょう) | 小指末節(爪) | 小指の橈側(薬指側)爪甲角の近位0.1寸(指寸)。 | 心経の井木穴。心熱を清し、意識障害や胸痛などの救急時に用いられる。刺絡法が多用される。 |
心経は心臓から始まり、腋窩(極泉)を経て、上腕の内側を下行します。前腕の尺側(小指側)を通り、手関節を通過して小指の橈側(薬指側)の爪甲角(少衝)で終わります。全9穴から構成される比較的短い経絡です。
心経は五行では「火」に属し、夏の季節と対応します。心は「君主の官」とされ、精神活動の中心を担います。また、心経は「少陰」に属し、陰の性質を持ちながら相対的に熱性の傾向があります。
現代の臨床では、不眠症、パニック障害、動悸、更年期障害の精神症状、自律神経失調症などの治療に心経の経穴が活用されています。特に神門穴は鍼灸治療で最も頻用される経穴の一つです。