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片山正輝

目次(V. 神経系)

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図513(眼窩の神経:外側から見た図)

毛様体神経節(副交感神経性)は、長さ約2mmの扁平な四辺形の構造で、眼窩後部の視神経外側面に位置し、視神経と外側直筋の間に存在する。

この神経節の後下縁には以下の諸根が入る。短根(運動性)Radix brevis(motoria)は動眼神経から出て、他の根よりも太く、時に2本に分かれる。長根(知覚性)Radix longa(sensitiva)は三叉神経の鼻毛様体神経から出て、しばしば2本以上の細い束からなる。交感根Radices sympathicaeは複数の細い束からなり、交感神経の内頚動脈神経叢から出る。その一部は他の根と合流し、一部は神経節を通過して毛様体神経に続く。

毛様体神経節は多数の樹状突起と1本の神経突起を持つ多極神経細胞で構成される(Retzius)。この神経節の前縁、特に前方に向かった角から3~6本の短毛様体神経Nervi ciliares brevesが発し、約20本に分岐して視神経の傍らを通り眼球に達する。通常、この神経は上下2群に分けられ、下群には三叉神経第1枝(眼神経)から出る2本の長毛様体神経Nervi ciliares longiが加わる。

毛様体神経はすべて視神経周囲で眼球外膜を斜めに貫入し、外膜と中膜の間を経線方向に前進する。途中で脈絡膜Chorioidesに小枝を与え、毛様体後部で繰り返し分岐して毛様体筋内に神経細胞を含む叢を形成する。この叢から眼球の毛様体筋Musculus ciliaris、虹彩Iris、および角膜Corneaへの神経が出ている。

交感根sympathische Wurzelは眼球に血管神経を導き、特に脈絡膜と虹彩に広がる。この根には瞳孔散大を引き起こす刺激伝達線維も含まれる。短根は毛様体神経節に副交感神経線維をもたらし、瞳孔括約筋と毛様体筋を支配する。長根は知覚性線維を含む。さらに、交感性運動線維の最終起始は脳脊髄神経系、特に最下部頚髄と第1胸髄にある。この高さの交通枝Rami communicantesが問題の線維を頚部交感神経に導き、後者から頚動脈神経叢とその枝を経てここに至る。