https://funatoya.com/funatoka/Rauber-Kopsch.html

目次(II. 筋系)

筋系の図譜

funalogo.gif


胸壁には3つの筋膜がある。すなわち浅胸筋膜鎖骨胸筋膜、および胸内筋膜である。

image.png

[図507] **腋窩筋膜:**右側.(Eislerによる)

1. 浅胸筋膜 Fascia pectoralis superficialis

これは上方で鎖骨と、内側で胸骨と結合し、外側では三角筋大胸筋三角の中に入り込む(379頁参照)。ここで鎖骨胸筋筋膜 Fascia clavipectoralis(Clavipectoral fascia)と融合する。

浅胸筋膜は浅腹筋膜 Fascia superficialis abdominis に続き、同時に大胸筋の下縁から広背筋へと移行する。腋窩の範囲では腋窩筋膜 Fascia axillaris と呼ばれる。腋窩筋膜は皮膚と比較的強く付着し、そのため皮膚が深く陥凹して腋窩を形成している。

腋窩筋膜は大胸筋と広背筋との間に広がる弓状の強靭な線維束を形成し、これはランゲル腋窩弓 Arcus axillaris, Langerscher Achselbogen と呼ばれる。第2の弓状線維束は腋窩の上外側の境界にあり、その凹面を体幹の方に向けており、上腕弓 Arcus brachialis と名付けられている。両弓(腋窩弓と上腕弓)の間にある卵円形の領域は、多数の小孔を持つ腋窩筋膜の疎な部分、すなわち腋窩篩板 Lamina cribriformis axillaris(Eisler)である。その隙間は脂肪組織で満たされ、血管・リンパ管・神経が通過している(RK507(**腋窩筋膜:**右側(Eislerによる)))。

2. 烏口鎖骨胸筋膜 Fascia clavipectoralis (Clavipectoral fascia)

この筋膜は大胸筋の深層に位置し、小胸筋と鎖骨下筋を覆っている。大胸筋よりも強靭で、烏口突起と鎖骨にしっかりと付着している。鎖骨下筋および小胸筋の背側にある血管と神経を保護している。外側では腋窩筋膜まで広がり、そこで融合する。

3. 胸内筋膜 Fascia endothoracica

これは肋骨と内肋間筋の内面を被う繊細な結合組織性の膜であり、横隔膜の上面に移行している。胸郭の上部および背方部では比較的よく発達し、厚みを増している。胸内筋膜は胸膜Pleura, Brustfellに覆われ、腹壁の腹横筋膜に相当するものである。