https://funatoya.com/funatoka/Rauber-Kopsch.html
図371(脊髄と脊髄神経および交感神経幹)、372(終糸)、373(延髄と脊髄の前面)、374(延髄と脊髄の後面)
図530(前根と後根の線維が脊髄神経の共通幹からその4本の枝へ移行する経路)
胸神経の領域にある交通枝が最も単純な様相を示している。ここでは交通枝が後枝の起始部に向かい合った箇所、あるいはその直前で胸神経から出て、鋭角をなして内側、下方、前方に進み、近くの**[交感]幹神経節**の外側縁に入る。神経節の上枝(Ramus cranialis)あるいは下枝(Ramus caudalis)に入ることは極めてまれである。
交通枝は1本であるか、2本の小枝に分かれており、時には3本に分かれる。これらの小枝は互いに平行に並んでいるか、あるいはかなりの間隔をおいて脊髄神経の幹から発して1つの[交感]幹神経節に向かって集中している。これに対して、1つの交通枝に属する小枝が2つの異なる[交感]幹神経節に入る場合は互いに離れている。
頚神経の交通枝は、その数においても結合の仕方においても、胸神経の場合よりもさらに大きな変化を示す。この変化は本質的には頚部の交感神経節の長さが様々に異なることと、中頚神経節が欠けることによって引き起こされる。これは第1と第2頚神経の交通枝、第7と第8頚神経の交通枝が頚部では最も規則正しい配列を示すことと関連がある。
第1頚神経の交通枝は直接その前枝から、あるいは第1頚神経係蹄(Ansa cervicalis prima)から、あるいはその前枝と舌下神経とが作る係蹄から起こる。第2頚神経の交通枝はその前枝から出るのが普通である。第1と第2頚神経の交通枝は上頚神経節に達している。
第3と第4頚神経の交通枝は直接その前枝から発することもあり、あるいはそれらの頚神経が作る係蹄から出ることもある。これらの交通枝は深頚筋群の上(前方)あるいは下(後方)を通って交感神経幹に達する。第3頚神経の交通枝もやはり上頚神経節に加わる。この神経節は、いくつかの神経節、少なくとも4個の神経節が融合して1つになったものである。第4頚神経の交通枝も第3のものと同様であるか、あるいは第5と第6頚神経の交通枝と同じく中頚神経節が存在するときにはこれに入っている。あるいはまた第4頚神経の交通枝は、第5と第6頚神経の交通枝と同様に、中頚神経節が欠けているときには上頚神経節と下頚神経節との間にあるこれら両神経節の結合索(Verbindungsstrang)に接着する。
第7と第8頚神経の交通枝は交感神経の下頚神経節に達する。第6交通枝が同じ関係を示す場合もすでに知られている。
腰神経の交通枝は長く、これらは椎間孔から腰椎の前面までの長い道のりを進む。これらの交通枝はこの長い道を横あるいは軽く斜めの方向に進み、その際大腰筋の筋束の間を走り、ついで椎体の前面と大腰筋の内側の腱弓との間で上下方向に伸びている裂け目の中に現れる。これらの交通枝は普通重複しており、しばしば次のように配列している。それは同一の神経節が2つの異なる腰神経と結合する、しかしまた別の場合は1つの交通枝が小枝に分かれて、2つの隣接する神経節と合している。
最後に述べたことはまた仙骨神経の交通枝についても当てはまる。仙骨神経の交通枝はしばしば重複しているが常に短く、前枝が前仙骨孔から出るところですぐにこれから分かれて、内側に向かい、近くの[交感]幹神経節に達し、その際これらの交通枝は外側仙骨動脈の上を越える。
上述の数多くの交通枝は、脊髄神経系または脳脊髄神経系と交感神経系とを結びつける。脳神経にも交通枝は豊富に存在する。交通枝は通常、交感神経性の根(Wurzeln)と呼ばれる。「根」という名称は、交感神経幹に脳脊髄神経系の線維を導くことを意味する。交感神経幹には交通枝を通じて効果性および受容性の線維が導かれる。これらの線維は脳脊髄神経の両根に由来する。一方で、交通枝を通じて脳脊髄神経系にも交感神経性の線維が導かれる。したがって、交通枝は脳脊髄神経性の枝と交感神経の枝の両方の性質を持ち、後者の中心は交感性の神経節にある。
交感神経の線維は交通枝を介して脊髄神経の末梢部、主にその前枝(Ramus ventralis)の末梢部に導かれる。前枝は脊髄神経から出る4つの枝のうち最も太く、その分布領域も最も広い。また、後枝(Ramus dorsalis)および硬膜枝(Ramus meningicus)にも交感性の線維が達している。さらに、多量の交感神経線維が交通枝(Ramus communicans)のあらゆる末梢分布に従って内臓と血管に到達する。
身体の多くの部位では、各脊髄神経への交通枝が2本または3本存在する。これらのうち1本は主に髄鞘を持つ脊髄性の神経線維から成り、他の1本は特に交感神経からの灰白線維(無髄)を含む。前者は白く、後者は灰白色に見える。しかし、多くの場合、両交通枝にはそれぞれ両種の線維が混在している。
脳脊髄神経とその神経節の構造 Struktur der zerebrospinalen Nerven und ihrer Ganglien
神経分節・筋分節および皮膚分節の互いのあいだの関係 Beziehungen zwischen Nervensegmenten, Muskelsegmenten und Hautsegmenten
脊髄のいろいろな分節における機能の局在 Lokalisation der Funktionen in verschiedenen Segmenten des Rückenmarks
神経が筋に入るところとその中での分枝 Nerveneintritt in den Muskel und Verzweigung innerhalb des Muskels