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目次(III. 脈管系)

A12_0245(大動脈弓)Arch of aorta
基本構造
- 大動脈弓は、上行大動脈から連続する約5~6cmの弯曲部であり、左後方へ湾曲して、第4胸椎体の左側で下行大動脈となる。
- 頭部、頚部、上肢への血液供給を担う、主要な動脈の起始部である。
分岐パターン
- 腕頭動脈、左総頚動脈、左鎖骨下動脈の3本の主要な枝が分岐し、最も一般的なA型(約84.6%)では、これらが個別に分岐する。
解剖学的位置関係
- 大動脈弓の頂点は、第1肋骨の胸骨付着部の上縁に位置し、気管分岐部を越え、その後方の右側には食道が存在する。
- 弓の上縁には左腕頭静脈が接しており、下方には、肺動脈の右枝と反回神経が走行する。
発生学的特徴
- 胎生4週に6対の鰓弓動脈が発生し、第6週から第8週にかけて、成人型の配置へと変化する。
- 発生過程での変異により、重複大動脈弓や右側大動脈弓などの異常が生じうる。

RK636(胸大動脈と腹大動脈およびその枝の自然位置)

J0530 (心臓の拡張時、胸肋面の腹頭図)

J0531 (心臓:拡張時、横隔膜面の背尾図)

J0548 (大きな心臓血管の位置:腹面図)

J0549 (心臓の動脈、正面上方からの図)

J0550 (心臓の動脈、背尾図)

J0551 (心臓の静脈:背尾図)

J0552 (心臓の静脈:腹頭方からの図)

J0556 (大動脈弓とその枝:左前方からの図)
大動脈弓は右の第2胸肋関節の高さで上行大動脈に続いて始まる。上方に向かって突出する緩やかな弧を描いて左後方に湾曲し、第4胸椎の高さで脊柱に達する。
**局所解剖:**大動脈弓の頂点の高さは、おおよそ第1肋骨の胸骨付着部の上縁に相当する。大動脈弓は胸膜の縦隔部と肺臓に覆われ、気管分岐部を越える。後方では右側に食道がある。弓の上縁に左腕頭静脈が接し、弓の下には肺動脈の右枝が左から右に走り、また反回神経が前から後ろに走る。大動脈弓の長さは5~6cm、直径は始まりの部分で2.5~3cm、終わりの部分で2~2.5cmである。
大動脈弓の凸縁から頭部と上肢に向かう大きな血管の幹が出る。すなわち腕頭動脈、左総頸動脈、左鎖骨下動脈である。凹縁は肺動脈の分岐部の上を越えて湾曲し、その終末部で肺動脈の左枝と動脈管索とつながっている。また上気管支動脈が凹縁から出るが、これは変異に富んでいる。