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大動脈弓は右の第2胸肋関節の高さで上行大動脈に続いて始まる。上方に向かって突出する緩やかな弧を描いて左後方に湾曲し、第4胸椎の高さで脊柱に達する。
**局所解剖:**大動脈弓の頂点の高さは、おおよそ第1肋骨の胸骨付着部の上縁に相当する。大動脈弓は胸膜の縦隔部と肺臓に覆われ、気管分岐部を越える。後方では右側に食道がある。弓の上縁に左腕頭静脈が接し、弓の下には肺動脈の右枝が左から右に走り、また反回神経が前から後ろに走る。大動脈弓の長さは5~6cm、直径は始まりの部分で2.5~3cm、終わりの部分で2~2.5cmである。
大動脈弓の凸縁から頭部と上肢に向かう大きな血管の幹が出る。すなわち腕頭動脈、左総頸動脈、左鎖骨下動脈である。凹縁は肺動脈の分岐部の上を越えて湾曲し、その終末部で肺動脈の左枝と動脈管索とつながっている。また上気管支動脈が凹縁から出るが、これは変異に富んでいる。
[図636] 胸大動脈と腹大動脈およびその枝の自然位置(Quainによる)
第1肋骨は斜角筋の停止部で分離し、やや外方に引いてある。他の肋骨は最も外側に突出した部分でおおむね切断し、左側では内肋間筋を除去してある。横隔膜はその脚の近くで切断し、胸部と腹部の内臓は大部分摘出してある。1. 上行大動脈、2. 大動脈弓、3, 3. 胸大動脈、4. 腹大動脈、5, 5. 総腸骨動脈、6. 尾動脈、7. 腕頭動脈、8. 総頸動脈、9. 鎖骨下動脈、10. 気管支動脈、11, 11. 食道動脈、12, 13. 肋間動脈、14. 肋骨上枝、15. 腹腔動脈と下横隔動脈、16. 上腸間膜動脈、17, 17. 腎動脈、18. 下腸間膜動脈、19. 胸管、20. 右縦胸静脈
心臓上大動脈傍神経節 Paraganglion aorticum supracardiale
腕頭動脈 Truncus brachiocephalicus
左総頸動脈 Arteria carotis communis sinistra
左鎖骨下動脈 Arteria subclavia sinistra
大動脈弓の変異 Variationen des Aortenbogens