上瞼板 Superior tarsus (Tarsus superior)

J0998 (右眼窩の内容物:上方からの図)

J1010 (眼球の矢状断:若干の模式図)

J1011 (視神経の方向の眼窩を通る矢状断面図)

J1012 (右の眼窩隔膜:前方からの図)

J1016 (右眼の眼瞼板を剖出:前方からの図)

J1017 (上眼瞼の断面図)
上瞼板は、上眼瞼の骨格を形成する硬い線維性結合組織板である(Gray and Standring, 2021)。以下に解剖学的構造と臨床的意義を詳述する。
1. 解剖学的構造
1.1 形態
上瞼板は半月状の形態を呈し、厚さ約1mm、水平方向に約25mm、垂直方向に約10mmの大きさを持つ硬い結合組織板である(Dutton, 2011)。その硬度と形状により、上眼瞼の構造的支持を提供している。
1.2 位置関係
上眼瞼の眼球に面する深部に位置し、その辺縁部は眼瞼縁から約2mm離れている(Wolfram-Gabel and Kahn, 2002)。この位置関係は眼瞼の機能維持に重要である。
1.3 付着部位
上瞼板の上縁は眼窩隔膜と融合し、内側および外側は内側眼瞼靭帯(medial palpebral ligament)と外側眼瞼靭帯(lateral palpebral ligament)を介して眼窩骨に固定されている(Kakizaki et al., 2009)。この付着構造により、眼瞼の安定性が保たれている。
1.4 組織学的特徴
上瞼板は密な線維性結合組織で構成され、弾性が少なく硬度が高いのが特徴である(Evinger et al., 1991)。この組織学的特性により、眼瞼の形態維持が可能となっている。
1.5 含まれる構造物
- マイボーム腺(瞼板腺、Meibomian glands):上瞼板内には脂質(メイボーム、meibum)を分泌する約25-40個の縦列に配列された腺が存在する(Knop et al., 2011)。これらの腺は涙液の脂質層を形成し、涙液の蒸発を防ぐ重要な役割を果たしている。
- 瞼板筋(ミュラー筋、Müller's muscle):交感神経支配の平滑筋で、上瞼板の上縁に付着する(Patel et al., 2005)。この筋は上眼瞼の挙上を補助する機能を持つ。
- 上眼瞼挙筋腱膜(levator aponeurosis):横紋筋である上眼瞼挙筋(levator palpebrae superioris)の腱膜部分が上瞼板の前面に付着する(Hwang et al., 2006)。この構造により、随意的な眼瞼挙上が可能となる。
2. 臨床的意義
2.1 眼瞼下垂(Ptosis)
上眼瞼挙筋や瞼板筋の機能不全により上瞼板が下方に変位し、視野が制限される病態である(Wong et al., 2000)。先天性または後天性に発生し、外観上の問題だけでなく機能的な視野障害をもたらす。
2.2 眼瞼内反・外反(Entropion/Ectropion)