

J0983 (灰青色の右眼の虹彩、毛様体および脈絡膜、前方からの図)




毛様体は、眼球壁の中間層(ぶどう膜)を構成する重要な解剖学的構造である (Tamm and Lütjen-Drecoll, 2022)。虹彩と脈絡膜の間に位置し、眼の調節機能と眼内環境の恒常性維持に不可欠な役割を果たしている。
毛様体は虹彩基部から赤道部に向かって約6mmの範囲に広がる輪状の構造である (Freddo, 2020)。断面では三角形状を呈し、強膜側(外側)、硝子体側(内側)、虹彩側(前方)の3面を持つ。前方部は毛様体冠(pars plicata)と呼ばれ、後方部は毛様体平坦部(pars plana)と称される (Park et al., 2023)。
毛様体は主に長後毛様体動脈と前毛様体動脈から豊富な血液供給を受ける。これらの血管は大毛様体動脈輪を形成し、毛様体および虹彩に栄養を供給する (Freddo, 2020)。静脈血は渦静脈系を通じて眼球外へ排出される。
毛様体筋は副交感神経(動眼神経からの毛様体神経節を経由)により支配され、アセチルコリンによる刺激で収縮する。また、交感神経支配も受け、調節機能の微調整に関与する (Croft et al., 2021)。
毛様体筋の収縮・弛緩により水晶体の曲率を変化させ、近見・遠見の調節を行う (Croft et al., 2021)。近見時には毛様体筋が収縮し、毛様体小帯の緊張が緩むことで水晶体が厚くなり、屈折力が増加する。遠見時には毛様体筋が弛緩し、毛様体小帯が緊張することで水晶体が薄くなり、屈折力が減少する。加齢に伴い毛様体筋の収縮力と水晶体の弾性が低下し、調節力が減少することで老視(老眼)が生じる。