眼球血管膜 Tunica vasculosa bulbi

眼球血管膜は、眼球壁の中間層を形成する重要な構造で、ブドウ膜（uvea）とも呼ばれます (Kanski and Bowling, 2024)。豊富な血管網を有し、眼球の栄養供給、調節機能、免疫防御において、中心的な役割を果たしています。

解剖学的構造

• 以下の3つの主要構造から成ります (Snell and Lemp, 2023)：
  • 脈絡膜（choroid）：網膜外層の栄養供給を担う、血管に富んだ層で、毛細血管板（choriocapillaris）を含みます。
  • 毛様体（ciliary body）：水晶体の調節と房水産生を行う構造で、毛様筋と毛様突起を含みます。
  • 虹彩（iris）：瞳孔径を調節する、色素上皮と血管性間質からなる構造です。

血液供給

眼動脈から分岐する後毛様動脈（短後毛様動脈と長後毛様動脈）と、前毛様動脈により血液供給を受けています (Remington, 2023)。これらの血管は、脈絡膜、毛様体、虹彩に豊富な血管網を形成します。

臨床的意義

• 主な病態 (Foster et al., 2024)：
  • ぶどう膜炎：自己免疫疾患や感染症による炎症。
  • 脈絡膜新生血管：加齢性黄斑変性などで発生。
  • 悪性黒色腫：眼球血管膜から発生する悪性腫瘍。

眼球血管膜の疾患は、視力に重大な影響を及ぼす可能性があり、早期発見と適切な治療が重要です。また、全身疾患の一症状として眼球血管膜の異常が現れることもあり、診断の手がかりとなることがあります (Albert et al., 2023)。

参考文献

• Albert, D.M., Miller, J.W., Azar, D.T. and Blodi, B.A., 2023. Albert & Jakobiec's Principles and Practice of Ophthalmology. 4th ed. Elsevier.
• Foster, C.S., Vitale, A.T., Levy-Clarke, G. and Nussenblatt, R.B., 2024. Diagnosis and Treatment of Uveitis. 3rd ed. Jaypee Brothers Medical Publishers.
• Kanski, J.J. and Bowling, B., 2024. Clinical Ophthalmology: A Systematic Approach. 9th ed. Elsevier.
• Remington, L.A., 2023. Clinical Anatomy and Physiology of the Visual System. 4th ed. Elsevier.
• Snell, R.S. and Lemp, M.A., 2023. Clinical Anatomy of the Eye. 3rd ed. Wiley-Blackwell.

J0987 (外部からの眼球血管膜の血管)