涙腺神経 Nervus lacrimalis
基本的特徴
- 眼神経(CN V1)の最小枝で、三叉神経に属する (Gray and Lewis, 2019)。
- 上眼窩裂から眼窩に入り、眼窩上外縁を前方に走行して、涙腺と上眼瞼外側部に分布する (Standring, 2021)。
- 外側直筋の上縁に沿って前走し、涙腺に分布する (Sinnatamby, 2018)。
- 涙腺に達する前後で細枝に分かれ、涙腺枝として涙腺に分布するものと、上眼瞼外側部の皮膚や結膜に分布するものがある (Moore et al., 2022)。
臨床的意義
- 涙腺の分泌機能を制御する重要な神経である (Remington, 2023)。
- 涙腺神経の損傷は、涙液分泌の減少(乾性角結膜炎)を引き起こす可能性がある (Kanski and Bowling, 2020)。
- 上眼瞼外側部の感覚異常や疼痛の原因となることがある (Kline and Hudson, 2018)。
外科的考慮点
- 眼窩上外側部の手術操作時には、涙腺神経の走行に注意が必要である (Dutton, 2021)。
- 涙腺生検や涙腺腫瘍摘出時には、涙腺神経の温存に留意する (Rootman et al., 2021)。
- 経眼窩手術アプローチでは、神経走行のバリエーションを念頭に置く必要がある (Tubbs et al., 2019)。
解剖学的変異
- 起始部は1条(54.0%)または2条(32.0%)が最も一般的である (Sharma and Gaur, 2024)。
- 内側・外側の2条、または内側・中間・外側の3-4条に分岐することがある (Pather et al., 2020)。
- 頬骨神経との交通枝は、主に外側枝から分枝(80.0%)する (Hwang et al., 2022)。
- まれに、眼神経と眼窩上神経からの2重起始や、鼻毛様体神経との吻合が認められる (Erdogmus and Govsa, 2023)。
参考文献