前脳

前脳とは、終脳と間脳の間に位置する部分を指します。前神経孔が閉鎖された時点で、前脳は菱脳や中脳とほぼ同じ構造を持つようになります。この時期の前脳は、横断面で見ると外側壁が厚く、蓋板と底板が薄いという特徴があります。また、外側面から眼柄が出ており、その先端には眼杯が付いています。

発生が進むと半球胞が形成され、前脳は特異な形状を呈するようになります。胚が頂殿長12mmに成長すると、前脳に大脳半球を認めることができます。半球胞の尾側は半球茎と呼ばれ、間脳に接続しています。一方、背吻側部では終脳間脳溝によって大脳半球と間脳が隔てられています。内吻側部では半球胞が終脳正中部に移行しています。

前神経孔は大脳半球原基の吻側で閉鎖され、第三脳室の前壁は、室間孔より吻側に位置しています。これは終脳正中部の一部と見なすことができ、終脳最終部とも呼ばれます。広義の第三脳室は、第三脳室終脳部と狭義の第三脳室から成り立っています。

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J0829 (10.4mm頂殿長の人間の胎児の脳、右半分:左方からの図)