腰仙膨大 Intumescentia lumbosacralis

J0813 (脊髄:前方からの図)

J0814 (脊髄:後方からの図)

J0819 (脊髄を通る断面(大人の):第3腰神経の出口点)
解剖学的特徴
- 腰仙膨大は、脊髄下部にみられる膨らみであり、第12胸椎から第3腰椎の高さに位置している (Gray and Williams, 2021)。
- 腰神経叢(L1-L4)と仙骨神経叢(L4-S2)を形成する神経線維の起始部である (Standring, 2023)。
- 灰白質の分布が著しく増加し、下肢の神経支配に必要な神経細胞体が多く集まっている。
- その形状は紡錘状であり、横断面では灰白質が蝶形に広がっているのが特徴的である (Drake et al., 2020)。
機能と重要性
- 下肢の運動制御と感覚情報処理を担う神経細胞が集中している重要な領域である (Snell, 2022)。
- 頸膨大が上肢を支配するのに対して、腰仙膨大は下肢の神経支配を担当している。
- 腰仙膨大には、多数の運動ニューロンと感覚ニューロンが存在し、下肢の精密な運動制御を可能にしている。
- 腰仙膨大の発達度は二足歩行との関連が深く、ヒトでは特に発達している (Netter, 2023)。
- 自律神経系の制御にも関与しており、下肢の血管運動や発汗などの調節に重要な役割を果たしている。
臨床的意義
- この部位の損傷により、下肢の運動障害や感覚障害を引き起こす可能性がある (Moore et al., 2022)。
- 脊髄造影検査における重要な解剖学的指標となる。
- 腰髄円錐(conus medullaris)への移行部としても重要な意味を持つ。
- MRIなどの画像診断において、脊髄病変の位置を特定する際の重要な指標となる。
- 腰椎穿刺の際の解剖学的ランドマークとしても重要である (Paulsen and Waschke, 2023)。
発生学的特徴