横隔面(脾臓の)Facies diaphragmatica splenica

J0715 (脾臓:前方から少し右側からの図)

J0716 (脾臓と腹膜:前方から少し右側からの図)
解剖学的特徴
脾臓の横隔面は、横隔膜に面する滑らかな凸面で、脾臓の上後方に位置します。この面は第9〜11肋骨の高さに相当し、横隔膜の形状に適合するように緩やかに湾曲しています(Gray et al., 2020; Standring, 2021)。脾臓は左季肋部に位置する最大のリンパ器官であり、その横隔面は解剖学的に重要な臨床的意義を持ちます(Moore et al., 2022)。
位置関係と血管構造
横隔面は横隔膜の左後部に直接接し、胃底部と肝左葉の間に位置します。この面の中央部には脾門(hilum splenica)があり、ここから脾動脈や脾静脈などの主要血管が出入りします(Standring, 2021)。脾動脈は腹腔動脈の最大の分枝であり、膵臓の上縁に沿って走行した後、脾門から脾臓内に入ります。
臨床的意義
横隔面の理解は臨床診断において極めて重要です。外傷性脾損傷では、横隔面の破裂により左上腹部から左胸部にかけての痛みが生じ、横隔神経の刺激により左肩への放散痛(Kehr徴候)として現れることがあります(Moore et al., 2022)。この徴候は横隔膜下の血液貯留によって引き起こされ、緊急手術の適応を判断する重要な臨床所見となります。
脾腫では、横隔面が横隔膜を上方に圧迫し、呼吸困難や左胸部の圧迫感を引き起こす可能性があります。画像診断においても、CTやMRIで横隔面の評価は脾臓の病変(梗塞、膿瘍、腫瘍など)や周囲臓器との関係を把握する上で重要な指標となります(Paulsen and Waschke, 2019)。
参考文献
- Gray, H., Standring, S., Anand, N., Birch, R., Collins, P., Crossman, A.R. and Gleeson, M. (2020) Gray's Anatomy: The Anatomical Basis of Clinical Practice. 42nd edn. Elsevier. → 解剖学の標準的教科書として世界中で使用されており、詳細な図解と臨床応用を含む包括的な解剖学的知識を提供しています。
- Moore, K.L., Dalley, A.F. and Agur, A.M.R. (2022) Clinically Oriented Anatomy. 9th edn. Wolters Kluwer. → 臨床医学の視点から解剖学を解説した教科書で、臨床症例や画像診断との関連が豊富に示されています。
- Paulsen, F. and Waschke, J. (2019) Sobotta Atlas of Human Anatomy. 16th edn. Elsevier. → 詳細な解剖図譜として知られ、特に画像診断との対比に優れた視覚的教材を提供しています。
- Standring, S. (2021) Gray's Anatomy: The Anatomical Basis of Clinical Practice. 43rd edn. Elsevier. → Gray's Anatomyの最新版で、最新の研究成果と臨床知見が反映されています。
東洋医学との関連性