外腸骨静脈

外腸骨静脈は、下肢の静脈を集める主幹であり、また一部は前腹壁の下部からも血液を集めます。鼡径靭帯の下で血管裂孔に始まり、大腿静脈の続きとして、大腰筋の内側に沿って上行し、仙腸関節の前面で内腸骨静脈と合流して総腸骨静脈を形成し、終わります。

小骨盤の静脈の帰流形式

小骨盤の静脈には、外腸骨静脈、内腸骨静脈、腸腰静脈などが存在します。外腸骨静脈は、下肢の静脈を集める主要な部分であり、一部は前腹壁の下部からも血液を集めます。内腸骨静脈は小骨盤内の血液を集めて総腸骨静脈に流れ込みます。腸腰静脈は、腸腰動脈に沿って腸骨窩と後腹壁から血液を集め、大腰筋の深層を通って総腸骨静脈または外腸骨静脈に流れ込みます。

日本人のからだ(大久保真人 2000)によると

小骨盤の静脈系は4型に分類されます(表95)。一般的に、左側では壁側枝と臓側枝が合流して一つの幹を形成し、内腸骨動脈に沿って進み、最終的に総腸骨静脈に開口します。これは左側の大部分のケースで見られます。一方、右側では変異がはるかに多く見られます。

表95 小骨盤の静脈の帰流型の頻度

表95 小骨盤の静脈の帰流型の頻度

I II III IV
左側のみ 9 3 0 0
右側のみ 1 2 3 1
両側 2 2 0 0

I型:壁側枝と臓側枝が一つの幹に集まり、内腸骨動脈に沿って総腸骨静脈に開口します。II型:壁側枝と臓側枝が一つの幹に集まり、大体第1仙椎の側縁で前後の二つの枝に分かれます。前方に向かう枝は内腸骨動脈に沿って総腸骨静脈に流れ、後方に向かう枝は第1仙椎および第5腰椎の前を斜めに走り、左総腸骨静脈に流れます。III型:下部で既に二つの枝に分かれています。前方に向かう枝は内腸骨静脈に伴って総腸骨静脈に流れます。後方に向かう枝は再び二つの枝に分かれてII型の経路をたどります。一つの枝は総腸骨静脈に流れ、もう一つの枝は第1仙椎および第5腰椎の前面を斜めに走って左総腸骨静脈に流れます。IV型:III型の第1仙椎および第5腰椎前面部を欠いています。下方では前後に二つの枝に分かれます。前方の枝は内腸骨動脈に沿って総腸骨静脈に流れ、後方の枝は第1仙椎の側縁に向かった後、さらに前方に曲がって総腸骨静脈に流れます。 (齊藤, 1925)

文献