総腸骨静脈
総腸骨静脈は、以下の特徴を持つ重要な血管です:
- 左右ともに仙腸関節の前面で、内腸骨静脈と外腸骨静脈の合流により形成されます。
- 第5腰椎体の前面で大動脈の右側に向かって上行し、左右が合流して下大静脈となります。
- 右総腸骨静脈は同名の動脈の後外側をほぼ垂直に上行します。
- 左総腸骨静脈は右側よりも長く、斜めに走行します。最初は総腸骨動脈の内側に位置し、その後右総腸骨動脈の背側を通過して右側へ移動します。
また、左総腸骨静脈には以下のような特徴があります:
- 右総腸骨動脈と骨盤壁の間で圧迫を受けるため、内腔側に部分的な癒合(または肥厚)が生じることがあります。
- この変化は年齢とともに増加し、主に左総腸骨静脈と下大静脈の結合部上端で観察されます。
総腸骨静脈は、下肢と骨盤からの血液を心臓へ戻す重要な役割を果たしています。
J0590 (男性右側の閉鎖動脈と下腹壁動脈:左側からの図)
J0618 (縦隔胸部の静脈、腹面図)
『日本人のからだ(大久保真人 2000)』によると
胎児の骨盤内静脈
胎児の骨盤内静脈に関する調査は件数、例数ともに少ないが、参考のために阿曾(1931)の記述を簡単にまとめる。
- 左右の総腸骨静脈は、第5腰椎椎体位置から第1仙椎上端までの間で合流する。
- 外腸骨静脈は、内腸骨静脈よりもはるかに太い。