蔓状静脈叢 Plexus venosus pampiniformis

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J0622 (男性の下大静脈、前方からの図)

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J0625 (女性の骨盤臓器の静脈:左側からの図)

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J0779 (右の精巣と精巣上体:矢状断面)

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J0781 (右精巣と精巣上体:側面からの図)

解剖学的特徴

蔓状静脈叢は、静脈が蔓(つる)状に絡み合って形成される血管のネットワークである。男性においては、精巣静脈が陰嚢内で精索の周囲に複雑に分岐・吻合して形成され、精巣からの静脈血を効率的に排出する役割を担う(Gray and Carter, 2016)。この叢状構造は精巣動脈と密接に隣接しており、対向流熱交換システムとして機能し、動脈血を冷却して精子形成に適した精巣の低温環境(体温より約2〜4℃低い)を維持するのに寄与している(Moore et al., 2018)。女性の場合は、卵巣静脈が広間膜内に同様の静脈叢を形成するが、男性ほど発達していない(Netter, 2019)。

臨床的意義

臨床的には、左側の精巣静脈弁の不全により蔓状静脈叢内の血流が停滞し拡張する精索静脈瘤(varicocele)が重要である。これは若年男性の約15%に見られ、男性不妊の原因となることがある(Agarwal et al., 2020)。精索静脈瘤は立位時や腹圧をかけた際に顕著となり、「袋の中の蚯蚓(みみず)」と形容される特徴的な触診所見を呈する(Chiba et al., 2017)。また、超音波ドプラー検査ではバルサルバ法を用いた逆流の確認が診断に有用である(Practice Committee of ASRM, 2020)。治療には顕微鏡下精索静脈瘤結紮術や経皮的塞栓術が行われる(Ding et al., 2022)。

参考文献

東洋医学との関連