大大脳静脈は、以下のような特徴を持つ重要な静脈です:
大大脳静脈は、大脳の深部(大脳核・間脳など)からの静脈血を集める大脳深部静脈系の一部で、大脳核、間脳、大脳髄質の一部、中脳などからの血液を集めています
J0900 (頭部正中断面のクモ膜下腔、左半分:右方からの図)
日本人のからだ(後藤 昇・国府田 稔 2000)によると
大脳深部静脈系(図55, 56**)**
これは大脳の深部(大脳核・間脳など)からの静脈血を集め、最終的には大大脳静脈(Galenusの静脈、great cerebral vein of Galen)に送る静脈系の総称です(後藤1986 a,1987)。この系統は大脳動脈の中心枝の分布領域よりも広い範囲からの静脈血を集めています。大脳核(被殻、尾状核、淡蒼球など)、間脳、大脳髄質の一部、中脳などが含まれます。大大脳静脈に流入するものは内大脳静脈と脳底静脈の2系統に分けられます。
内大脳静脈は大脳横裂の中を前後に走る1対の静脈で、第三脳室の天井裏にあります。分界静脈(視床線状体静脈)の続きとして室間孔(Monro孔)の部分から始まり、脳梁膨大の下方で大大脳静脈に合流します。大脳髄質の静脈が脳梁下層静脈に集まり、尾状核表面を走る尾状核静脈を経て、その間に尾状核や被殻の一部から静脈血を集める上線状体静脈が合流します。また、室間孔の部分で透明中隔を走る透明中隔静脈も合流します。その他に、内大脳静脈には第三脳室脈絡叢・視床内側核・視床後核などからの静脈血が流入します。大脳髄質の血管数は全脳矢状断の複数の切片で調べられています(後藤,1991)。切片あたりの血管数は1.805で、動脈が23.4%、静脈が76.6%でした。また、葉別の静脈数では、後頭葉が78.0%、側頭葉が68.2%、頭頂葉が61.1%、前頭葉が36.6%でした。
脳底静脈(Rosenthalの静脈)は前有孔質付近から始まり、中脳の周囲の迂回槽を後方に走り、中脳の背方で大大脳静脈に合流する1対の静脈です。前大脳静脈と深中大脳静脈が合流し、被殻・淡蒼球・前障などからの静脈血を集める下線状体静脈が流入します。
その他に大大脳静脈に流入するものとしては、内側後頭静脈、後脳梁静脈、海馬静脈などがあります。