中側頭静脈 Vena temporalis media

J0610 (顔の表在静脈:右側からの図)

J0611 (顔の深部静脈:右側からの図)
中側頭静脈は、頭部の側頭部に位置する静脈で、側頭部の静脈還流および頭蓋内外静脈系の交通において重要な役割を果たしています (Gray and Carter, 2021)。以下に解剖学的特徴と臨床的意義について詳述します。
解剖学的特徴
1. 起始と走行
- 起始:側頭筋の表層部から複数の細い静脈枝として始まります。
- 走行経路:
- 側頭筋膜(temporal fascia)と側頭筋(temporalis muscle)の間の層を下行します (Standring, 2021)。
- 頬骨弓(zygomatic arch)の上方を通過し、側頭部を下降します。
- 側頭筋膜を貫通して深部へと至ります (Moore et al., 2018)。
- 終末:頬骨弓付近で浅側頭静脈(superficial temporal vein)に合流します。
2. 解剖学的位置関係
- 側頭筋膜の深層と側頭筋の浅層の間に位置します。
- 浅側頭動脈(superficial temporal artery)と並走しますが、より深層を走行します。
- 顔面神経の側頭枝(temporal branch of facial nerve)と近接した位置関係にあります。
3. 支配領域と流入静脈
- 側頭筋からの静脈血を集めます。
- 側頭部の皮下組織からの静脈血も受け入れます。
- 複数の小静脈枝が合流して本幹を形成します。
4. 静脈系との交通
- 浅側頭静脈への流入を介して、外頸静脈系に連絡します。
- 深側頭静脈(deep temporal veins)を介して翼突静脈叢(pterygoid plexus)と交通します。
- 頭蓋内静脈系、特に中硬膜動脈に伴走する静脈を介して硬膜静脈洞と交通する可能性があります (Tubbs et al., 2016)。