内側足底動脈 Arteria plantaris medialis

J0604 (右足底の動脈)
解剖学的特徴
内側足底動脈は、足底部の血液供給において重要な役割を果たす動脈で、以下のような解剖学的特徴を有します。
起始と走行
- 後脛骨動脈の2つの末梢枝の1つとして、屈筋支帯(flexor retinaculum)の深層で分岐します(Moore et al., 2018)。通常、外側足底動脈よりも細い口径を持ちます。
- 母趾外転筋(abductor hallucis)の深層を内側から外側へ向かって走行し、足底腱膜の深部で母趾外転筋と短趾屈筋(flexor digitorum brevis)の間を前方へ進みます(Standring, 2020)。
- 走行中に浅枝(ramus superficialis)と深枝(ramus profundus)に分岐し、足底内側部の広範囲に血液を供給します(Paulsen & Waschke, 2017)。
分枝と分布領域
- 筋枝(muscular branches):母趾外転筋、短趾屈筋、短母趾屈筋などの足底内側の筋群に分布します(Moore et al., 2018)。
- 皮枝(cutaneous branches):足底内側部の皮膚への血液供給を担います(Standring, 2020)。
- 関節枝(articular branches):足根関節や中足趾節関節の内側部に分布します(Paulsen & Waschke, 2017)。
- 終末部は第1趾(母趾)の内側面まで到達し、母趾内側縁の固有底側指動脈の形成に関与します(Moore et al., 2018)。
浅枝と深枝の詳細
浅枝は足底腱膜の深層を走行し、浅足底動脈弓の形成に寄与しますが、日本人では明瞭な動脈弓を形成することは少なく、発達は不十分です(Adachi, 1928)。深枝はより深層を走行し、足底内側部の筋層への血液供給に重要な役割を果たします(村上, 2000)。
日本人における解剖学的特徴(Adachi, 1928の研究より)
- 83.4%の症例で、内側足底動脈は同名の内側足底神経の外側(腓側)を走行します。これは神経血管束の位置関係において重要な解剖学的知見です(Adachi, 1928)。
- 80.7%の症例で、外側足底動脈の方が内側足底動脈よりも太い口径を持ちます。これは日本人における足底の血液供給パターンの特徴を示しています(Adachi, 1928)。
- 外側足底動脈は例外なく同名神経の外側を走行します。血管と神経が交差する場合、近位部では一般に血管の方が浅い位置にあります(Adachi, 1928)。