子宮動脈 Arteria uterina♀

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J0594 (女性骨盤の動脈:左前方からの図)

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J0595 (子宮とその周囲の動脈:背面から、わずかに左方からの図)

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J0625 (女性の骨盤臓器の静脈:左側からの図)

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J0796 (女性の骨盤臓器、左側の骨盤壁を除去:左側からの図)

子宮動脈は、女性の生殖器系に重要な血液供給を行う動脈であり、妊娠時には著しい形態的・機能的変化を示す重要な血管である (Standring, 2020)。本項では、その詳細な解剖学的構造と臨床的意義について記述する。

解剖学的構造

起始と走行

子宮動脈 (arteria uterina) は内腸骨動脈 (internal iliac artery) の前枝から分岐し (Standring, 2020)、骨盤側壁から内側に向かって走行する→基靱帯 (cardinal ligament) の中を通過し (Netter, 2021)、子宮頸部の外側約1.5〜2.0 cmの位置で尿管と交叉する (Moore et al., 2018)→この解剖学的関係は「water under the bridge(橋の下を流れる水)」として知られ、尿管が子宮動脈の下方を通過する重要なランドマークである (Hoffman et al., 2020)。

子宮頸部付近に到達後、子宮動脈は上行に転じ (Drake et al., 2018)、子宮体部の側縁に沿って特徴的な蛇行走行 (tortuous course) を示しながら上昇する→この蛇行は妊娠時の子宮拡大に対応するための解剖学的適応である (Williams et al., 2019)。

分枝と分布領域

子宮動脈は走行中に以下の領域に血液を供給する (Drake et al., 2018):

吻合形成

子宮動脈は卵巣動脈 (ovarian artery) と卵管の外側端付近で吻合し (Standring, 2020)、機能的動脈弓である卵巣-子宮動脈弓 (ovarian-uterine arterial arcade) を形成する→この吻合により、一方の動脈が結紮された場合でも子宮への血流が維持される側副循環路となる (Netter, 2021)。

また、子宮動脈は以下の動脈とも吻合を形成する (Williams et al., 2019):

臨床的意義