掌側手根枝(橈骨動脈の)Ramus carpalis palmaris (Arteria radialis)

J0579 (右前腕第2層の動脈:手掌側図)

J0583 (右手掌深層の動脈)
解剖学的特徴
掌側手根枝は橈骨動脈から分岐する重要な側副枝で、手根部における動脈網形成に寄与します(Standring, 2020)。
起始と走行
- 起始部位:橈骨動脈の遠位部から、方形回内筋の遠位縁付近で分岐(Moore et al., 2017)
- 走行:手根骨の掌側面を内側(尺側)方向へ横走
- 深さ:屈筋支帯の深層を走行し、手根屈筋腱の下を通過
動脈吻合
掌側手根枝は以下の動脈と吻合して掌側手根動脈網(rete carpale palmare)を形成します(Gelberman et al., 1983):
- 尺骨動脈からの掌側手根枝
- 前骨間動脈の終枝
- 正中動脈(存在する場合)
分布領域
- 手根骨(特に舟状骨、月状骨、有頭骨の掌側面)
- 手根部の関節包および靱帯
- 手根管内の屈筋腱鞘
臨床的意義
側副循環
掌側手根動脈網は手の血行において重要な側副循環路を形成します。橈骨動脈または尺骨動脈の一方が損傷・閉塞した場合でも、この動脈網を介して手部への血流が維持されます(Coleman and Anson, 1961)。