左肺動脈 Arteria pulmonalis sinistra

J0531 (心臓:拡張時、横隔膜面の背尾図)

J0548 (大きな心臓血管の位置:腹面図)

J0550 (心臓の動脈、背尾図)

J0551 (心臓の静脈:背尾図)

J0552 (心臓の静脈:腹頭方からの図)

J0633 (出産後の胎児の血管:前方から少し左側からの図)

J0634 (腹部およびやや左側からの分娩後の胎児の血液循環を示す図)

J0750 (左肺:内側からの図)

J0759 (左の胸腔と縦隔、肺および胸膜の除去:左側からの図)
概要
左肺動脈は、肺動脈幹が肺動脈弁直上で分岐する2本の主要枝のうち、短い方の枝です(Gray and Standring, 2024)。解剖学的には、大動脈弓の下を通過し(動脈管索の近傍)、心外膜を貫いて左肺門に向かいます。左主気管支の上方を走行し、気管支動脈、肺静脈、および自律神経と伴走しています(Netter, 2023)。
臨床的意義
- 肺塞栓症の好発部位となり得ます(Moore et al., 2023)。
- 肺高血圧症の評価に重要です(Barst et al., 2004)。
- 胸部CT/MRIでの重要な解剖学的指標です(Webb et al., 2015)。
- 肺癌手術時の重要な血管として注意が必要です(Shields et al., 2024)。
分枝パターン
左肺動脈は、以下の主要な枝に分かれ、各区域に血液を供給します(Drake et al., 2023):
- 肺尖動脈(A1):上葉の頂区に分布し、肺尖部の換気血流を担います(Boyden, 1955)。
- 前区動脈(A3)・後区動脈(A2):
- 上葉の前方および後方区域を灌流します(Drake et al., 2023)。
- 上行枝と下行枝に分かれ、細かな毛細血管網を形成します(Weibel, 1963)。
- 舌区動脈:
- 上舌動脈(A4):舌区上部を灌流します(Boyden, 1955)。
- 下舌動脈(A5):舌区下部を灌流します(Boyden, 1955)。
- 左肺特有の解剖学的構造です(Sinnatamby, 2023)。
- 下葉上動脈(A6):
- 重要な外科的指標です(Shields et al., 2024)。
- 下葉の上区(S6)に分布します(Drake et al., 2023)。
- 感染症の好発部位です(Moore et al., 2023)。
- 肺底区動脈群:
- 前肺底動脈(A8):基底区前方を灌流します(Boyden, 1955)。
- 外側肺底動脈(A9):基底区外側を灌流します(Boyden, 1955)。
- 後肺底動脈(A10):基底区後方を灌流します(Boyden, 1955)。
- 内側肺底動脈(A7):基底区内側を灌流します(Boyden, 1955)。
これらは下葉の換気血流の大部分を担っています(West, 2012)。
参考文献
書籍
- Drake, R.L., Vogl, W. and Mitchell, A.W.M. (2023) Gray's Anatomy for Students, 5th Edition. Elsevier.——医学生向けの解剖学教科書。臨床的関連性を重視し、視覚的に理解しやすい構成となっている。