前尖(僧帽弁の;左房室弁の)Cuspis anterior (Valva mitralis)

J0540 (収縮した心室:心房を除去した後の基盤、弁が閉じている図)

J0541 (拡張期の心臓:おおよそ横隔面に平行な図)

J0542 (設置された二尖弁(僧帽弁):切断された図)

J0546 (拡大した心臓の左室(左心室):腹部の左側からの図)

J0547 (大動脈弁を広げた図)
解剖学的構造
僧帽弁の前尖は、心臓の左心房と左心室の間に位置する二尖弁(僧帽弁)を構成する2つの弁尖のうち、より大きく、より強靭な前方の弁尖です(Gray et al., 2020; Anderson et al., 2017)。
位置と形態:
- 前尖は弁輪の約3分の1を占め、大動脈弁の後方に位置します(Anderson et al., 2017)
- 心室中隔側に向かって配置され、大動脈前庭と連続します
- 半月状の形態を呈し、後尖よりも面積が大きく、長さも長い(Perloff & Roberts, 1972)
- 弁尖の自由縁から心室壁へ腱索が伸び、乳頭筋に付着します
組織学的構造:
- 弁尖は3層構造を持ちます:心房側の弾性線維層、中間のスポンジ層、心室側の緻密な線維層(Gray et al., 2020)
- 弁尖の基部は心内膜と連続し、弁輪に付着します
- 腱索付着部は特に強靭な線維組織で補強されています
機能的解剖学
僧帽弁前尖は、心周期における血液の一方向性流れを確保する上で極めて重要な役割を果たします(Perloff & Roberts, 1972)。
拡張期:
- 左心房圧が左心室圧を上回ると、前尖は心室側へ開放されます
- 左心房から左心室への血液の流入を可能にします
- 弁尖は血流に沿って心室内へ移動し、血液の通過を妨げません
収縮期: