小網とは、肝門と胃小弯、そして十二指腸上部の間に張る前後2枚からなる薄い腹膜であり、胃の小弯から十二指腸の近位部(幽門より2cm遠位)と肝臓(肝門縁と静脈管索のある裂隙深部)に付着するものです。発生的には前胃間膜の一部であるとされています。右側端を肝十二指腸間膜と呼び、小網の自由縁と網嚢孔の前縁を形成し、ここを胆路、門脈、固有肝動脈が通ります。左側の広い部分は胃小弯とつながり、肝胃間膜と呼ばれ、網嚢の前壁を形成します。なお、小網の右側端は、十二指腸の前面を越えてヒダとして下行して右結腸曲に達することがあります。この部分を肝結腸間膜と呼びます。小網の左端部は肝臓から外れるため、ここでは小網が胃と横隔膜を結ぶ形となります(小網の横隔胃部)。