会陰筋
会陰筋は、骨盤の下部を閉じ、肛門と尿生殖洞(尿道や生殖器の通路)を開閉する筋群です。これらの筋は、肛門筋群と尿生殖筋群の2つに分かれています。
肛門筋群には、肛門挙筋、尾骨筋、外肛門括約筋が、尿生殖筋群には、深会陰横筋、尿道括約筋、浅会陰横筋、坐骨海綿体筋、球海綿体筋が含まれます。
肛門筋群(1~3)と尿生殖筋群(4~8)に分けられます。
- (1)肛門挙筋:小骨盤の内壁から起こり、主に肛門につきます。一部は閉鎖筋膜から起こり、肛門挙筋腱弓を形成します。起始と停止の場所により、腸骨尾骨筋、恥骨尾骨筋、恥骨直腸筋に区分されます。さらに、前部は尿生殖洞にも付着し、前立腺挙筋または恥骨膣筋と呼ばれます。
- (2)尾骨筋:肛門挙筋の後方に位置し、仙棘靱帯の内面にある小筋です。
- (3)外肛門括約筋:肛門挙筋の下方にあり、肛門管を取り囲む横紋筋です。皮下部、浅部、深部の3部に分かれますが、その境界は不明確です。筋後端と尾骨尖端を結ぶ靱帯を肛門尾骨靱帯といいます。
- (4)深会陰横筋:尿生殖三角を塞ぐ三角形の筋で、尿道球腺または大膳提瞻を含みます。
- (5)尿道括約筋:男性では尿道隔膜部、女性では尿道と膣を囲む輪状の筋です。
- (6)浅会陰横筋:深会陰横筋の浅部にあり、その後縁を横走する小筋です。
- (7)坐骨海綿体筋:坐骨枝から起こり、陰茎(陰核)海綿体を包みます。
- (8)球海綿体筋:尿道球または膣前庭を包む筋で、外肛門括約筋とは会陰腱中心を介して連なります。
(1)と(2)は陰部神経叢の枝により、(3)~(8)は陰部神経によりそれぞれ支配されます。
J0801 (男性の肛門挙筋:上面からの図)
J0802 (男性の肛門挙筋:左側からの図)
J0803 (男性の右側肛門挙筋と尿生殖三角:後上方からの図)