陰茎球 Bulbus penis

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J0787 (男性の骨盤臓器の正中矢状断:左側からの右半分の図)

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J0788 (陰茎、球海綿体筋および筋膜と皮膚の一部を除去:下方からの図)

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J0789 (陰茎海綿体と尿生殖三角:下方からの図)

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J0808 (男性骨盤:前面からの切断面)

解剖学的構造

陰茎球は尿道海綿体(corpus spongiosum)の近位端が膨大した球状構造物であり、左右の陰茎脚の間で後上方に位置する (Drake et al., 2020)。尿生殖隔膜の下面(会陰膜)に強固に付着し、会陰部の深層に埋没している (Standring, 2021)。その形態は長さ約2.5cm、横径約1.5cmを示し、豊富な血管網を有する海綿体組織から構成される (Netter, 2018)。尿道は陰茎球の腹側を貫通し、この部分は球部尿道(bulbar urethra)と称される (Moore et al., 2019)。陰茎球は球海綿体筋(bulbospongiosus muscle)に覆われ、この筋の収縮により尿道内の残尿排出や射精時の精液輸送が促進される (Paulsen and Waschke, 2022)。血液供給は主に内陰部動脈の球部尿道枝から行われ、静脈還流は陰茎背静脈系を介する (Tanagho and McAninch, 2020)。

臨床的意義

陰茎球は会陰部鈍的外傷、特に「騎乗型損傷」(straddle injury)において損傷を受けやすく、重度の血腫形成や出血をきたす可能性がある (Moore et al., 2019)。骨盤骨折に伴う尿道損傷では、球部尿道が最も頻繁に損傷される部位であり、尿道造影検査における球部の拡張像は診断上重要な所見となる (Gomez et al., 2021)。前立腺肥大症や前立腺癌に対する経会陰的アプローチでは、陰茎球の解剖学的位置を術前に正確に把握することが合併症回避に不可欠である (Walsh et al., 2023)。また、尿道狭窄に対する内視鏡的治療や尿道形成術においても、球部尿道の解剖学的特性を理解することが治療成績向上に寄与する (Barbagli et al., 2022)。さらに、勃起機能障害の評価においては、陰茎球への血流動態が重要な指標となる (Lue et al., 2021)。

参考文献

東洋医学的観点