精管膨大部 Ampulla ductus deferentis

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J0771 (膀胱、拡張時の周囲構造付き:後方からの図)

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J0784 (前立腺と精嚢、精管:前上方からの図)

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J0785 (射精管、前部および上部)

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J0786 (左側の骨盤壁を除去した後の男性の骨盤臓器:左方からの図)

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J0787 (男性の骨盤臓器の正中矢状断:左側からの右半分の図)

解剖学的特徴

精管膨大部は、精管の末端部分が膀胱底の後方で紡錘状に膨隆した構造物である。長さは約3〜5cm、幅は約1cmで、精管の後部1/3に相当する。壁は厚く、内腔は不規則な褶襞を形成している。組織学的には、粘膜層、筋層、外膜の三層構造からなり、粘膜は偽重層円柱上皮で覆われている。

精管膨大部は膀胱底の後方、精嚢の内側に位置し、左右の膨大部が精嚢の排泄管とそれぞれ合流して射精管を形成する。射精管は前立腺実質内を貫通し、尿道の前立腺部にある精丘で開口する。

機能と生理学

精管膨大部は精液の貯蔵と輸送において重要な役割を果たし、精子の成熟過程の最終段階の場でもある。精管膨大部の分泌物は精液の約10%を構成し、精子の活性化に必要なフルクトースなどの栄養素を含んでいる。射精時には、平滑筋の収縦により内容物が射精管を経て尿道へと送り出される。

臨床的意義

臨床的には、精管膨大部炎(ampullitis)が生じることがあり、これは前立腺炎や精嚢炎と関連して発症することが多く、骨盤痛や射精痛の原因となる。また、先天的な形成異常や腫瘍も稀に報告されている。泌尿器科的処置や手術の際には、膀胱三角の後方に位置するこの構造物の解剖学的位置関係を十分に理解することが重要である。

画像診断では、経直腸的超音波検査やMRIにより精管膨大部の形態学的評価が可能である。炎症性疾患や腫瘍性病変の診断、男性不妊症の原因検索において重要な情報を提供する。

参考文献

東洋医学との関連性