精巣;睾丸

精巣は、別名睾丸とも呼ばれ、男性の性腺です。精巣上体と共に陰嚢内に存在し、その重量は約8.4gです。一般に、左の精巣は右の精巣よりも少し大きいです。上端、下端、外側面、内側面、前縁、後縁という部分で区別します。表面は結合組織性の白膜で覆われ、この白膜は内側に膨らんで精巣縦隔を形成します。ここからさらに内部に精巣中隔が伸びて出てきて、精巣実質を約300の精巣小葉に分けます。これらの小葉は迂曲する精細管(曲精細管)で構成され、精子を形成する部位です。精巣縦隔に近い部分では、直精細管となり、これは縦隔内の網状の精巣網に合流します。精巣網はさらに10~20本の精巣輸出管につながります。精巣周辺には、発生時の構造の残存物がいくつか見られます。精巣垂は、ミューラー管(Muellerian duct)の上端部の残存物であり、精巣上体の頭部にも同様の小体があります。これは精巣上体垂で、ウォルフ管(Wolffian duct)上端の中腎細管の残存物です。

日本人のからだ(村上 弦 2000)によると

(1)計測値

精巣の大きさや重量については、計測方法が不明ですが、大田黒(1983)によると、1歳前後では1.0cm×0.8cm×0.7 cm、3-4歳では1.3cm×1.1cm×1.0 cm、5-6歳では1.5cm×1.3 cm×1.2 cm、10歳前後では1.8cm×1.5cm×1.4 cm、13歳では2.3cm×3.2cm×1.8cm-2.2cm×1.8cm×2.2 cm、15歳から成人では3.0cm×4.0cm×2.8 cm-3.0cm×2.6cm×2.8 cmです。一般的に10歳以上で本人の小指頭よりも小さいと異常とされます。精巣および精巣上体の重量については、稗田・森(1929)、秋吉(1931)、森岡(1936)、特に年齢別重量計測については田中ら(1957)の調査があります(表36, 37)。

精管の長さは35 cm、射精管の長さは2cm、精管膨大部の長径は右6.7 cm、左5.9cm、直径は右0.82 cm、左0.75 cm、正中線とのなす角は右56.0度、左52.7度です(浦,1987)。

精嚢の長径は右4.42 cm、左4.24 cm、幅は右1.67 cm、左1.74 cm、厚さは右1.13 cm、左1.10 cm、正中線とのなす角は右47.4度、左48.5度です(浦,1987)。

前立腺の長径は2.2-3.0 cm、幅は3.6-4.4 cm、厚さは1.3-1.9 cm、重さは11-18 gです(浦,1987)。

経直腸による超音波断層装置を用いた計測結果(樋口ら,1986)では、正常前立腺180例について、重量は18.5±6.9 g、左右径に対する前後径の比は54.8±9.7%でした。また、別の超音波断層像による報告では、左右48.1±4.0 mm、前後27.1±3.7 mm、上下28.0±5.2 mmとされています(古寺・平松,1982)。

和田(1970)は、造影所見から精丘を7型に分類しています(梶棒型、おたまじゃくし型、紡錘型、帯型、楕円型、欠損型、変形型)。それぞれの頻度は不詳ですが、精丘の最大横径が6mm以上だと異常とされています。

陰茎の大きさは、手で十分に伸ばした状態で亀頭端から陰茎根部までを計測します。乳幼児期では1.5-3.0 cm、長くても4cmを超えません。15歳までに5-13 cm、一般的に10歳以上で本人の小指よりも短ければ異常とされます(大田黒, 1983)。

表36 睾丸および副睾丸の重量(g)

表36 睾丸および副睾丸の重量(g)

例数 年齢 備考
睾丸 副睾丸 睾丸 副睾丸
稗田・森(1929) 右70左67 18-67 8.39 2.16 8.42 2.33 新鮮材料
稗田・森(1929) 15 7.26 1.68 7.31 1.72 保存材料
秋吉(1931) 82 18-20 9.08 1.88 8.78 1.78 新鮮材料
森岡(1936) 40 17-67 8.22 7.55 保存材料

表37 年齢別「睾丸+副睾丸」重量(g) (新鮮材料)

表37 年齢別「睾丸+副睾丸」重量(g) (新鮮材料)