卵管采 Fimbriae tubae uterinae

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J0793 (子宮、卵管および卵巣:後方からの図)

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J0795 (腟、子宮、右の卵管と卵巣:後方から開いている図)

解剖学的構造

卵管采は卵管の腹腔端(漏斗部、infundibulum)に位置する指状ないし樹枝状の突起構造であり、漏斗状の開口部を形成している (Pauerstein and Eddy, 1979)。その直径は約1cmで、単層円柱上皮によって被覆されている (Eddy and Pauerstein, 1980)。上皮は繊毛細胞(ciliated cells)と分泌細胞(secretory cells)から構成され、繊毛は排卵時に卵子を卵管内腔へ輸送するために協調的な拍動運動を行い、分泌細胞は卵子の生存と輸送に必要な液体成分を産生する (Eddy and Pauerstein, 1980)。

卵管采の中で最も長い突起は卵巣采(fimbria ovarica)と呼ばれ、卵巣固有索(ovarian ligament)または卵巣間膜を介して卵巣表面に接続している (Sadler, 2019)。この解剖学的配置により、排卵時には卵管采が卵巣表面に近接し、排卵された卵子を効率的に捕捉することが可能となる (Lyons et al., 2006)。卵管采の繊毛運動はエストロゲンおよびプロゲステロンによって月経周期に応じて調節されており、排卵期に最も活発になることが報告されている (Lyons et al., 2006)。

臨床的意義

卵管采の機能障害は女性不妊症の主要な原因の一つである (Farquhar, 2005)。特に、骨盤内炎症性疾患(pelvic inflammatory disease, PID)やクラミジア・トラコマティス(Chlamydia trachomatis)感染による卵管炎は、卵管采の繊毛上皮の損傷や癒着を引き起こし、卵子捕捉能および輸送能を著しく低下させる (Magers et al., 2017)。このような卵管采の機能不全は、卵管性不妊の主要な病態である (Farquhar, 2005)。

また、卵管采を含む卵管の通過障害は異所性妊娠、特に卵管妊娠(tubal pregnancy)の重要なリスク因子となる (Shaw et al., 2010)。卵管采の癒着や線毛機能障害により、受精卵の子宮腔への正常な輸送が妨げられ、卵管内での着床が生じる (Shaw et al., 2010)。さらに、子宮内膜症(endometriosis)による骨盤内癒着も卵管采の可動性を制限し、卵子捕捉能を低下させることが知られている (Horne et al., 2019)。

参考文献

東洋医学との関連性