女性生殖器 Systema genitale femininum
女性生殖器系は卵巣・卵管・子宮・腟・外陰を中心に、受精・妊娠・分娩・授乳を担う器官群であり、骨盤内の膀胱・尿管・直腸・筋膜・血管・神経と密接に連関し、解剖学的関係が診察・画像診断・手術安全性に直結する。各構造の位置、支持靱帯、血管・神経・リンパ系、臨床的リスク(異所性妊娠、卵巣捻転、子宮筋腫等)と画像評価ポイントが解説され、損傷しやすい部位として尿管や内陰部血管・骨盤神経叢が強調されている。

J0793 (子宮、卵管および卵巣:後方からの図)

J0794 (右の卵巣と卵管がその位置で横に切断:上方から見た図)

J0795 (腟、子宮、右の卵管と卵巣:後方から開いている図)

J0796 (女性の骨盤臓器、左側の骨盤壁を除去:左側からの図)

J0797 (女性の骨盤臓器の正中矢状断面:左側からの右半分の図)

J0798 (女性の骨盤臓器:上方からの図)

J0799 (女性の前庭球と尿生殖三角:下方からの図)

J0800 (女性の外部性器:女性外陰部)
概説
女性生殖器(Systema genitale femininum)は、卵巣・卵管・子宮・腟・外陰を中核として、受精、妊娠、分娩、授乳に至る生殖機能を担う器官群である。さらに骨盤内では、膀胱・尿管・直腸、骨盤筋膜・骨盤底筋群、骨盤内血管・神経叢と密接に隣接し、解剖学的関係の理解が診察・画像読影・手術安全性に直結する(Moore, 2023;Standring, 2021)。
構成要素と層構造(浅層→深層の把握)
- 外陰(vulva):大陰唇・小陰唇・陰核・前庭(尿道口、腟口)・前庭球・大前庭腺(Bartholin腺)など(Standring, 2021)。
- 会陰(perineum):尿生殖三角(前方)と肛門三角(後方)に分け、会陰膜(perineal membrane)と浅会陰隙/深会陰隙の概念で整理する(Moore, 2023)。
- 腟(vagina):骨盤内臓器として子宮頸部と連続し、前方は膀胱・尿道、後方は直腸に近接する(Standring, 2021)。
- 子宮(uterus):底・体・峡部・頸部。子宮内膜/筋層/漿膜(腹膜)という壁構造が、画像と病態理解(筋腫・腺筋症・浸潤癌)に重要(Berek, 2020)。
- 卵管(tuba uterina):漏斗部(采)・膨大部・峡部・子宮部。受精部位(多くは膨大部)と異所性妊娠の好発部位が対応する(Moore, 2023)。
- 卵巣(ovarium):卵胞発育と内分泌(エストロゲン・プロゲステロン)を担い、卵巣固有間膜・卵巣提索(懸垂靱帯)で固定される(Standring, 2021)。
各器官の詳細解剖
1) 卵巣(Ovarium)
位置・隣接
- 卵巣は骨盤側壁近傍の卵巣窩周辺に位置し、外側で骨盤壁、内側で卵管采と関連する(Standring, 2021)。
- 臨床的には、卵巣腫瘍や卵巣捻転で、卵巣血管(卵巣動静脈)を含む卵巣提索が牽引・閉塞しうる(Berek, 2020)。
固定(靱帯)
- 卵巣固有靱帯(ligamentum ovarii proprium):卵巣→子宮角へ。
- 卵巣提索/卵巣懸垂靱帯(ligamentum suspensorium ovarii):卵巣→骨盤壁(卵巣血管の通路)。