胸膜腔 Cavitas pleuralis; Pleural cavity

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J0760 (胸骨を通る水平断面:上方からの図)

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J0761 (胸骨を通る水平断面:上方からの図)

基本解剖学

胸膜腔(pleural cavity)は、壁側胸膜(parietal pleura)と臓側胸膜(visceral pleura)によって囲まれた潜在的空間です。正常な状態では、この空間には約5-15mlの少量の漿液が存在し、肺の滑らかな動きを可能にしています(Gray et al., 2020)。解剖学的には、左右それぞれに独立した胸膜腔があり、縦隔によって分離されています。

構造と機能

壁側胸膜は胸壁内面、横隔膜上面、縦隔側面を覆い、臓側胸膜は肺実質と直接接しています。両胸膜の間には陰圧が維持されており、これが肺の拡張を促し、呼吸機能を支えています(Standring, 2021)。肺門部では、壁側胸膜が反転して臓側胸膜へと連続しています。

血管・神経支配

壁側胸膜は胸壁の動脈(肋間動脈、内胸動脈など)から血液供給を受け、臓側胸膜は気管支動脈から栄養されます。神経支配については、壁側胸膜は肋間神経によって支配され痛覚が豊富ですが、臓側胸膜には痛覚がほとんどありません(Drake et al., 2019)。このため、胸膜炎の痛みは主に壁側胸膜の炎症によるものです。

臨床的意義

胸膜腔の病態は呼吸器疾患の重要な一部を構成します(Robbins et al., 2023):

参考文献