大鼻翼軟骨(鼻の)Cartilago alaris major nasi
解剖学的構造
大鼻翼軟骨は、鼻の外側部に位置する鈎形の弾性軟骨で、外側脚(crus laterale)と内側脚(crus mediale)の2つの部分から構成されています(Gray and Lewis, 2020)。外側脚は鼻翼の形状を決定し、内側脚は鼻孔の縁と鼻中隔前部を形成します。この軟骨は鼻孔を支持・保護し、呼吸時の鼻孔の開閉に関わる重要な構造です。
周囲との関係
解剖学的には、大鼻翼軟骨は上部で鼻骨および上顎骨と結合し、内側では鼻中隔軟骨と接しています(Standring, 2021)。その厚さは約1mm程度で、外側脚はやや厚く、内側脚はより薄い構造となっています。これらの軟骨は線維性結合組織によって互いに、また周囲の骨格と結合しています。
臨床的意義
臨床的には、大鼻翼軟骨は鼻形成術や鼻整形手術において重要な構造物です(Daniel, 2018)。鼻尖形成術では、この軟骨の位置や形状を調整することで鼻先の外観を改善します。また、鼻閉症状を引き起こす鼻弁狭窄症においても、大鼻翼軟骨の変形や脆弱性が原因となることがあり、軟骨移植や支持材料の挿入などの治療が行われます(Rohrich et al., 2016)。先天異常である口唇裂・口蓋裂に伴う鼻変形の修正にも、この軟骨の理解が不可欠です。
参考文献
- Daniel, R.K., 2018. Mastering Rhinoplasty: A Comprehensive Atlas of Surgical Techniques. 3rd ed. Springer. — 鼻形成術における大鼻翼軟骨の手術手技と臨床応用を網羅
- Gray, H. and Lewis, W.H., 2020. Gray's Anatomy of the Human Body. 41st ed. Elsevier. — 人体解剖学の標準的な教科書で、大鼻翼軟骨の詳細な解剖学的記述を含む
- Rohrich, R.J., Ahmad, J., Gunter, J.P., 2016. Dallas rhinoplasty: Nasal surgery by the masters. Plastic and Reconstructive Surgery, 137(4), pp.1197-1198. — 鼻形成術の発展と大鼻翼軟骨に対するアプローチ法の最新知見を提供
- Standring, S., 2021. Gray's Anatomy: The Anatomical Basis of Clinical Practice. 42nd ed. Elsevier. — 臨床解剖学の観点から大鼻翼軟骨とその周囲構造の関係性について詳述
- Toriumi, D.M. and Johnson, C.M., 2020. Open Structure Rhinoplasty. Facial Plastic Surgery Clinics of North America, 28(2), pp.145-158. — 鼻形成術における大鼻翼軟骨の処理法と構造保存の重要性について論じている

J1068 (自由に剖出された外側の鼻の軟骨:右前方からの図)

J1069 (外側の鼻の軟骨:下方から自由に剖出)

J1070 (粘膜なしの鼻中隔:左方からの図)

J1071 (鼻中隔と粘膜:左方からの図)