粘膜(胆嚢の)Tunica mucosa vesicae biliaris

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J0711 (胆嚢と胆道:切断面)

1. 解剖学的構造

胆嚢の粘膜は単層円柱上皮からなり、粘液産生細胞を含み、多数のひだ(襞)を形成している。これらのひだは胆嚢が空の時に最も顕著で、胆汁が充満すると平坦化する。粘膜下層は疎性結合組織で構成され、リンパ組織や血管、神経が豊富に分布している。この粘膜は特殊な吸収能を持つことで、胆汁中の水分を急速に除去できる。

2. 生理的機能

粘膜構造により胆汁の濃縮・貯蔵が効率的に行われる。粘膜上皮は水分や電解質の吸収に関与し、胆汁の濃縮に重要な役割を果たしている。胆嚢粘膜は1日に約500mlの水分を吸収し、胆汁を5〜10倍に濃縮する能力を持つ。また、粘膜上皮は胆汁酸塩の能動輸送にも関与している。

3. 組織学的特徴

胆嚢粘膜の上皮細胞は微絨毛を持ち、その表面積を増大させることで吸収効率を高めている。粘膜固有層には豊富な血管網があり、吸収された物質の輸送を促進する。この上皮が一部の部位でわずかに陥入して、粘液分泌を行う小さな腺構造を形成することもある。

4. 臨床的意義

臨床的には胆石症や胆嚢炎により粘膜の炎症や肥厚が生じ、慢性的な場合はコレステロール沈着(コレステローシス)や腺腫様過形成などの病変が発生することがある。長期的な炎症は胆嚢癌のリスク因子となることが報告されている。胆嚢粘膜の異常な過形成や化生変化は前癌病変として重要である。

5. 発生学的側面

胆嚢粘膜は発生学的に前腸内胚葉由来であり、胎生4週頃に肝芽の腹側から発生する胆嚢憩室から形成される。この発生過程は肝臓や胆管系との密接な関連を持ち、発生異常は先天性胆道拡張症などの病態につながることがある。

6. 参考文献