胆嚢

胆嚢は、長さ約9cm、太さ約4cmのナスビ形状の袋で、胆汁を貯蔵します。胆嚢は肝臓の下面に位置し、胆嚢窩に浅く収まっています。そのため、肝臓の下面の被膜と共通の結合組織で覆われ、下面と底部は腹膜で覆われています。

胆嚢の底部は袋の底の部分で、体部分は膨らみ、頸部は細くなっています。底部は前方に向いており、肝臓の下縁から少し前に突出しています。頸部は後方に向き、胆嚢管に連結しています。

胆嚢の内面には、網状のひだが突出し、高い単層円柱上皮で覆われています。上皮細胞は粘液を分泌し、よく発達した筋層が存在します。

胆嚢管は、長さ約3cmのやや曲がった管で、内部にらせん状に突出するひだ(らせんひだ)があります。これは胆管と合流し、総胆管を形成します。

通常、肝管から流れて来た胆汁は、胆嚢管を通じて胆嚢に貯蔵されます。必要に応じて、胆嚢管から総胆管を経由して十二指腸に放出されます。特に食事が十二指腸に達すると、十二指腸壁から血液中にコレシストキニンが放出され、このホルモンにより胆嚢が収縮し、胆汁が排出されます。

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J0711 (胆嚢と胆道:切断面)

J0712 (胆嚢の粘膜)

日本人のからだ(村上 弦 2000)によると

(1)計測

胆嚢の長さは7-9 cm、胆嚢管の長さは3-4 cm、総肝管の長さは3-4 cm、総胆管の十二指腸上部の長さは3-5 cm、総胆管の十二指腸後部の長さは2 cm、総胆管の膵臓部の長さは3-5 cm、そして総胆管の十二指腸壁内部の長さは1.4 cmである(須田・宮野,1980)。

一方、胆管と膵管の共通管の長径は0.46 mm、括約筋に囲まれた総胆管と同部の管径は1.68 mmおよび0.31 mm、総胆管の径は0.70 mm、乳頭部の開口径は0.20 mm、膵管の径は0.38 mmと報告されています(木村,1976)。

胆嚢管は、内腔の形態に基づき、平滑部、螺旋部、および逆旋部(管のねじれが反転する部分)に分けられます(図74)。さらに、逆旋部を挟んで胆嚢側と総胆管側に分けられます。各部については、東(1982)による詳細な計測データが存在します。

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図74 胆嚢管の形態(東, 1982)

図74 胆嚢管の形態