線維付着(肝臓の) Appendix fibrosa hepatis

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J0708 (腹膜の折り返し部分と肝臓:前方からの図)

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J0709 (腹膜の折り返し部分と肝臓:上方からの図)

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J0710 (腹膜の折り返し部分と肝臓:下後方からの図)

肝臓の線維付属(Appendix fibrosa hepatis)は、肝臓左葉の上端部に発生する結合組織性の尖頭状付属物です(Standring, 2021)。この構造は全ての人に必ず存在するわけではなく、個体差があり、形態学的変異が認められます(Kogure et al., 2000; Bismuth, 2014)。

解剖学的特徴

肝線維付属は以下の解剖学的特徴を持ちます:

臨床的意義

臨床的には、この構造自体が病的意義を持つことは稀ですが、いくつかの重要な側面があります:

歴史的研究と解剖学的重要性

線維付着は19世紀後半から解剖学的記述に登場し、特に肝臓の区域解剖学の研究において注目されてきました(Cantlie, 1898)。Cantlie(1898)は肝臓の機能的区域分類を提唱する中で、この構造についても言及しています。近年の研究では、この構造が肝臓の血管構造と関連して発生することが示唆されており、特に肝動脈や門脈の分岐パターンとの相関が報告されています(Abdel-Misih and Bloomston, 2010; Kogure et al., 2000)。Couinaud(2002)の肝区域分類システムにおいても、肝線維付属は解剖学的標識の一つとして認識されています。

画像診断における意義

CT、MRI、超音波検査などの画像診断においては、肝線維付属が偽病変として誤認されることがあります(Caremani et al., 2008)。適切な診断のためには、その典型的な位置(肝左葉上縁、三角靭帯近傍)と形態的特徴(小さな突起状構造、均一な軟部組織濃度)を理解することが重要です(Caremani et al., 2008; Bismuth, 2014)。特に、以下の画像所見が鑑別に有用です: