小腸の粘膜下組織は、弾性線維に富む疎性結合組織であり、上部小腸では輪状ヒダの芯部を構成します。また、大小の血管やリンパ管網がよく発達しています。小腸ではマイスナー神経叢が発達しているため、神経線維の断面や数個の神経細胞が集団となって存在する層が、組織標本上でよく観察されます。十二指腸の粘膜下組織には、十二指腸腺またはブルンナー腺と呼ばれる分枝管状胞状粘液腺が存在し、胃の幽門腺とよく似た構造を示しています。腺腔は広く、腺細胞の核は楕円形で、基底部に位置し、核上部は分泌顆粒に満たされていますが、通常の標本では明るく抜けて見えます。導管は、明るい細胞質をもつ円柱ないし立方上皮細胞で構成され、粘膜筋板を貫いて腸陰窩の底部に開口しています。十二指腸腺は、迷走神経刺激ないしは採食によって、中性ないしアルカリ性の粘液を分泌し、胃から送られてきた強酸性の糜汁から十二指腸粘膜を保護します。