下咽頭収縮筋

下咽頭収縮筋は、線維の走行がもっとも急勾配な筋であり、背側で中咽頭収縮筋に覆われています。甲状咽頭部は甲状軟骨の外側面から、輪状咽頭部は輪状軟骨の外側面から起こり、第2気管軟骨から非恒常的な線維束が起こることがあります。

日本人のからだ(島田和幸 2000)によると

咽頭収縮筋は消化管の輪走筋に対応し、咽頭の輪走筋です。これらは上から順に上咽頭収縮筋、中咽頭収縮筋、下咽頭収縮筋と分類されます。起始点は翼状突起の内側板から喉頭の輪状軟骨に至る不連続な線上に存在し、上咽頭収縮筋は頭部、中咽頭収縮筋は舌骨、下咽頭収縮筋は喉頭から起こります。

これらの筋線維は、咽頭後壁の正中線上に存在する腱性の咽頭縫線で左右の同名の筋と結合するとされています。しかし、咽頭縫線の形態については、必ずしも正中線上に存在するわけではなく、変異が大きいとShimada and Gasser (1989)は報告しています(図9)。

縦走筋に分類されるものには、茎突咽頭筋と口蓋咽頭筋があります。口蓋咽頭筋は口峡の筋にも分類されます。耳管の開閉に関係する筋は耳管咽頭筋です。

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図9 咽頭縫線の分類(114体中) (Shimada and Gasser, 1992)

図9 咽頭縫線の分類(114体中)

日本人114体中の頻度は以下の通りです。

I型: 咽頭縫線が下咽頭収縮筋に限局しているタイプ。

II型: 咽頭縫線が上咽頭収縮筋に限局しているタイプ。