翼突下顎縫線 Raphe pterygomandibularis

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J0413 (右側の翼突筋:外側からの図)

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J0673 (口蓋:粘膜を取り除いた後に下方からの図)

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J0684 (咽頭の筋、右側からの図)

翼突下顎縫線(別名:頬咽頭縫線)は重要な解剖学的構造であり、以下の特徴があります。

1. 解剖学的構造

翼突下顎縫線は、内側翼突筋の起始部(翼突鈎)と下顎骨内側面の間に存在する線維性腱帯です(Standring, 2020)。この構造は口腔と咽頭の境界線を形成し、口腔側壁後部の重要な構成要素となっています(Drake et al., 2019)。

2. 筋肉付着部

翼突下顎縫線には、頬筋の後端と上咽頭収縮筋の前端が付着しており、口腔系と咽頭系の筋を分離する重要な役割を果たしています(Norton, 2017; Fehrenbach and Herring, 2021)。

3. 臨床的意義

この構造は下歯槽神経ブロックの際の重要な解剖学的指標となります(Malamed, 2022)。口内法による注射時には、縫線内側への針挿入により効果的な麻酔が可能となります。Iwanaga et al. (2021) は、翼突下顎縫線の形態的変異が局所麻酔の効果に影響を与えることを報告しています。また、炎症時には開口障害や嚥下痛を引き起こす可能性があります(Fehrenbach and Herring, 2021)。

4. 発生学的側面

翼突下顎縫線は第二鰓弓由来の構造と関連しており(Sadler, 2018)、顎顔面発生過程において重要な役割を担っています。発生学的理解は、先天性異常の診断と治療計画において重要です。

5. 解剖学的変異

個体差による位置および太さの変異が認められ(Netter, 2019)、加齢による組織学的変化も観察されます。Huang et al. (2020) は3D画像解析を用いて、翼突下顎縫線の形態学的特徴における個体差を詳細に記述しています。

6. 最近の研究知見

近年の研究では、翼突下顎縫線の形態的変異と麻酔効果の関連性が報告されており(Iwanaga et al., 2021)、3D画像解析による詳細な解剖学的構造の解明も進んでいます(Huang et al., 2020)。さらに、Kumar et al. (2023) は、翼突下顎縫線の緊張と顎関節症との関連性を明らかにし、臨床的診断における重要性を示しています。

参考文献