有郭乳頭は、分界溝のすぐ前に1列に並ぶ8~12個の大きな乳頭(約2~3mm)です。乳頭は深い溝で取り囲まれています。この乳頭も、組織学的には角化していない重層扁平上皮を持っており、さらに、上皮に向かって多くの二次乳頭の突出が見られるのは、茸状乳頭と同じですが、この乳頭での二次乳頭の発達が大きいため、有郭乳頭は特徴的です。また、乳頭側面の重層扁平上皮層には、紡錘状の明るい味蕾がありますが、この味蕾はこの乳頭だけでなく、葉状乳頭でも見られます。有郭乳頭や葉状乳頭は、おのおのの乳頭の周囲に深い溝を持っていますが、これは味蕾との関係で重要です。なぜなら、味蕾は味孔を通じてしか通じておらず、さらに、この溝を満たしている分泌物の働きによって、味の刺激を感じることができます。つまり、溝への分泌物としては、この溝の底に存在するエブネル腺が源となっており、一種の小唾液腺である漿液性の分泌物は、溝の水を洗い流すことによって、新しい刺激を受けることができます。また、味蕾は味孔という小さな孔を持ち、この孔が、さらに小さな冠状の味管となって、外の溝と味蕾を構成する細胞との間を仲介しています。