糸状乳頭は舌体の背面全域にわたって密在する円錐状の乳頭です。表層の上皮は角化しており、生体では白く見えます。糸状乳頭によって舌背の表面はややザラザラとなり、食物の移動に役立つと考えられています。これはヒトではあまり典型的ではないが、他の哺乳類、例えばネコ等では、糸状乳頭の整然たる発達が認められ、これが食物摂取を容易にしており、それゆえ糸状乳頭の機能的特徴の一つとして挙げられます。また、乳頭内に多くの神経がきていることから、一種の感覚装置とも考えられています。糸状乳頭の外観は細長い指状を呈し、他の口腔組織がそうであるように、糸状乳頭も重層扁平上皮から成り立っていて、その最表層は、他の舌乳頭と大きく異なり、角化していることが糸状乳頭の組織学的な特徴となっています。