腱下包(肩甲下筋の)Bursa subtendinea musculi subscapsularis

J0310 (右肩関節:前方からの図)
解剖学的特徴
位置と構造:
- 肩甲下筋の腱と肩関節包の間に位置する滑液包です(Codman, 1934; Neer, 1983)。
- 肩関節の前内側部に存在し、肩甲骨の肩甲下窩から起始する肩甲下筋の腱が上腕骨小結節に付着する際の滑走面を形成します(Standring, 2016)。
- ほぼ100%の症例で存在する常在性の滑液包であり、解剖学的変異は少ない構造です(Uhthoff & Sarkar, 1990)。
関節包との関係:
- 多くの場合、肩関節包と交通しており、関節腔の前方延長部として機能します(DePalma, 1983)。
- この交通により、関節液が滑液包内に流入し、潤滑作用を高めています(Neviaser, 1945)。
組織学的構造:
- 滑膜細胞で裏打ちされた袋状の構造で、内部には滑液が含まれています(Byers et al., 2000)。
- 滑液は摩擦を最小限に抑え、栄養供給と老廃物除去の役割も果たします(Smith et al., 1995)。
機能的意義
摩擦軽減機能:
- 肩甲下筋腱が肩関節包や周囲の骨性構造と接触する際の摩擦を大幅に軽減します(Matsen et al., 1998)。
- 特に肩関節の外旋運動時に、腱の円滑な滑走を可能にします(Inman et al., 1944)。
肩関節運動への寄与:
- 肩関節の内旋、内転、前方安定性の維持において、肩甲下筋の効率的な収縮を支援します(Itoi et al., 1992)。