横束(足底腱膜の)Fasciculi transversi aponeurosis plantaris

J0516 (右足底の筋膜)
解剖学的構造
足底腱膜の横束(横線維束)は、足底腱膜を構成する重要な線維構造の一つです(Stecco et al., 2013)。足底腱膜は主に縦走する線維束から構成されますが、これらの縦線維束を横方向に連結する横束が存在します(Bojsen-Møller, 1979)。
- 位置:中足骨頭部の高さで、足底腱膜の縦線維束の間を横断するように走行しています(Wearing et al., 2006)。
- 構造:浅層の横線維として配置され、隣接する縦線維束同士を結合しています(Stecco et al., 2013)。
- 組織学的特徴:密性結合組織からなり、コラーゲン線維が主体です(Akfirat et al., 2003)。
- 手掌との類似性:手掌腱膜の横線維束(superficial transverse metacarpal ligament)と構造的に相同であり、同様の機能を持ちます(Standring, 2020)。
機能的役割
- 足底腱膜の構造的統合:縦線維束を横方向に連結することで、足底腱膜全体の一体性を保ち、荷重分散を効率化します(Wearing et al., 2006)。
- 中足骨頭の安定化:中足骨頭部において横アーチの維持に寄与し、前足部の横方向への広がりを制限します(Bojsen-Møller, 1979)。
- 荷重伝達:歩行や走行時の体重負荷を足底全体に効果的に分散させます(Caravaggi et al., 2009)。
- 衝撃吸収:足底への衝撃を緩和し、関節や骨への負担を軽減します(Ker et al., 1987)。
臨床的意義
- 足底腱膜炎との関連:足底腱膜炎では主に縦線維束の起始部(踵骨結節)に炎症が生じますが、横束を含む足底腱膜全体の緊張増加が病態に関与します(Wearing et al., 2006)。
- 開張足(横アーチの低下):横束の機能不全は前足部の横アーチの低下を招き、開張足や中足骨痛(metatarsalgia)の原因となります(Goldcher, 1995)。
- 外傷:直達外傷や過度のストレッチにより横束の損傷が生じることがあり、前足部の不安定性や疼痛の原因となります(Bock et al., 2009)。
- 手術時の考慮:足底腱膜の部分切除術や足部の手術において、横束の温存は足底の機能維持のために重要です(Daly et al., 1992)。
- リハビリテーション:足底筋群の強化や足底腱膜のストレッチングは、横束を含む足底腱膜全体の機能改善に有効です(DiGiovanni et al., 2003)。